●2030年まで倍増の伸び、「ドル箱」に浮上
世界の発電会社が原子力発電(原発)に新しい代替策を求めるのは、すでに検証済みの原発の環境への安全性と経済性のためだ。原発は火力発電と違い、二酸化炭素(CO2)など温室ガスの排出がほとんどない上、キロワット(kW)当たりの電力生産費用が39ウォンで、有練炭(42ウォン)、ガス(100ウォン)に比べて安価である。
原油や有練炭など徐々に底をついてきた化石燃料と違って、原発の燃料のウランは相対的に埋蔵量が豊富である。
韓国型原発の設計を担当している韓国電力技術のホ・ヨンソク専務は、「かつての原発事故はほとんどがシステムの欠陥ではなく、管理者の操作ミスによるものだった。新型原発は人間のミスが入り込む余地を根本的に取り除いたのが特徴だ」と説明した。
国際エネルギー機関(IEA)は現在、31ヵ国で運営中の約440基の原発が2030年ごろには70ヵ国、約790基に増えると見込んでいる。
●競争力十分な設計技術と高級人材
技術力だけを見ると、韓国型原発の競争力は充分である。韓国は1970年代初め、米ウェスティングハウス社から原発の技術を導入して以来、現在まで20基の原発を建設するうちに、韓国型標準原発モデルのOPR1000や独自モデルのAPR1400などを作ってきた。
特に、技術自立度が95%以上のAPR1400は、kW当たりの建設費が約2000ドルで、米国などの競争モデル(3000ドル水準)より30%以上安い。
ここに1980年代初めから原発の建設が全面的に中断された米国と違い、韓国は1970年以降、現在まで持続的に原発を建てながら、優秀な設計技術および高級人材を保有しているのも強みだ。
ただ、原子炉に対するオリジナル技術はウェスティングハウスが保有しているため、原発輸入国が韓国から技術移転を要求する場合、いちいち許可をもらわなければならないのは輸出の足かせになりそうだ。
韓国電力技術・事業開発チーム長のチ・ゲグァン氏は、「トルコやインドネシアなど、韓国が原発を輸出する予定の国は技術移転を要求していないので展望が明るい」とし、「米国に依存しているオリジナル技術も2015年ごろには完全に自立することができるので、以後の輸出可能性はさらに高い」と説明した。
●米仏日の3大構図のハードル、狭い身動き幅
しかし、米国・フランス・日本に代表される世界原発市場の3大構図に韓国が乗り込むのは決して簡単ではない状況だ。米国とフランスは原発関連のオリジナル技術を持っている上、日本も2年前、米ウェスティンハウス株の80%を買収してオリジナル技術を保有した。
また、世界原発産業の拡大に備え、これら3ヵ国のメジャー同士の提携がすでに終わっているのも我々にとって身動きの幅を縮小させる要因である。
さらに、原発輸出が技術力にのみ左右されるのではなく、国政政治の力関係との密接な関わりがあるという点も我々にとっては厳しい状況だ。
ホ専務は、「これまで、国内には公企業が海外に進出する上で制約が山積していた。公企業が原発輸入対象国と融通の利く交渉ができるよう、制度的な枠組みを構築すべきだ」と話した。
changkim@donga.com