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チョンセの敷金上昇、背景に引退控えたベビーブーム世代

チョンセの敷金上昇、背景に引退控えたベビーブーム世代

Posted January. 13, 2011 02:58,   

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日増しに深刻化している「傳貰(チョンセ=家賃の代わりに一定の金額を保証金として大家さんに預けて借り住む家。保証金は契約終了時に返還される)大乱」現象には、ベビーブーム世代が少なからぬ影響を及ぼしている。彼らが、住宅賃貸借市場で、ウォルセ(月々家賃を払って借り住む部屋や家)に転じ、傳貰物件の不足や家賃高騰という連鎖反応が起きているためだ。

ベビーブーム世代とは、1955〜1963年に生まれ、昨年から引退を始めている世代であり、国内全体人口の14.6%を占めている。彼らは資産の83%を不動産として保有しており、国内不動産市場の「大物」といわれている。

●ベビーブーマー、傳貰騒ぎに拍車

家賃が昨年から、かなりのスピードで上昇し始め、冬場のオフシーズンにもかかわらず、全く収まる気配を見せていない。国民(クンミン)銀行の住宅価格動向調査によると、昨年1年間、全国の傳貰家賃は7.1%上昇し、02年以降8年ぶりの最高値を記録した。09年に3.4%上昇したことに比べても、2倍以上の高い高騰ぶりだ。今は、春の引越しシーズン前に引っ越し予定の需要までつめかけ、上昇の勢いに拍車をかけている。蠶室(チャムシル)の不動産屋は、「相場より数千万ウォンずつ引き上げ、傳貰物件を出す家主が結構多い」と言い、「どうもひどすぎるような気がしても、数日後は、相場が引きつられて上昇するのが現状だ」と舌を巻いている。

家賃が高騰する原因としてはまず、新規入居物量の減少による需給不均衡問題が取り上げられる。今年入居する全国のマンションは計18万8727戸と、昨年の入居物量30万401戸より37%も減少している。さらに、住宅景気の低迷を受け、住宅を購入するよりは、傳貰を選んでいることも大きく働いている。金ギュジョン・不動産114部長は、「住宅価格が追加で下落することを懸念し、購入よりは再び傳貰を選ぶ人々が多い」と伝えた。

住宅市場の「大物」であるベビーブーマーがウォルセに転じていることも、傳貰物量不足の現象に拍車をかける要因となっている。ベビーブーマーの末っ子に当たる会社員の金某氏(47)は昨年11月、京畿道高陽市一山(キョンギド・ゴヤンシ・イルサン)のマンションをウォルセに出し、2ヵ月がすぎてからようやく、敷金3000万ウォンに家賃130万ウォンのテナントがついた。金さんは、「不動産屋からは傳貰として出せば、即座で契約できると言われたが、ウォルセを固守した」と言い、「まとまった金があっても、使うところがなく、金利も低く、ウォルセのほうがより得だ」とその理由を説明した。

未来(ミレ)アセット退職年金研究所が最近、ベビーブーマー500人を対象に調査を行った結果、本人が居住していない不動産の保有形態は、引退時点である50代後から大幅に変わった。30代や40代は70%が傳貰で出したが、同比率が50代は50%、60代と70代以上は、それぞれ48%と36%と大幅に減っていた。一方、敷金付きウォルセで不動産を活用している割合は、30代と40代は30%未満だったが、50代からは半分近くに増えた。金ギュジョン部長は、「(住宅)売買で収益を期待することが難しくなると、ウォルセを好む傾向ができ、傳貰物件はさらに減少した」と分析した。

●不動産は現金創出の手段

ベビーブーマーらがウォルセを選び、彼らが引退する時、保有不動産を処分し、国内不動産市場は崩壊するだろうという一部の予想は外れる見通しだ。ベビーブーマーらは賃貸を通じ、保有不動産を現金創出の手段として活用するためだ。建国(コングク)大学の李鉉錫(イ・ヒョンソク=不動産学)教授は、「ベビーブーマーらは、きちんと金融教育を受けた初の引退世代とも言える」と言い、「住宅を巡ってもいまや、売買による差益だけでなく、運用収益、つまり賃貸に目覚め始めている」と診断した。

そのため、全体賃貸市場でも、ウォルセの割合は目立って増加している。特に、首都圏より先に傳貰騒ぎを経験した広域市は08年末、全体の55.9%に達した傳貰比率が、昨年末は半分以下(49.1%)へと下がった。一方、敷金付きウォルセの割合は同期間、41.4%から46.9%へと増えた。李ソクジュン公認仲介士は、「最近、傳貰をウォルセに変える際の、ウォルセの利息はどのぐらいなのかを尋ねる電話が後を絶たない」と話し、「残っている貸し物件のうち、敷金付きウォルセが半分を占めている」と伝えた。

しかし、ベビーブーマーによるウォルセへの転換は、テナントである若い世代には大きな負担となっている。ソウル蚕室に住む李某さん(39)は昨年10月、引越しする際、敷金付きウォルセで契約を交わした。以前暮らしていたマンションの家賃が2倍近く値上がりし、少しでも安い同じ団地の低層に引越しした。李さんは、「両家の両親からもらった金を、敷金の足しにし、家賃は50万ウォンにした」と言い、「これからは子供が幼稚園に入り、支出が増えることになるが、家賃まで払うことになり、心配だ」と打ち明けた。

一部の専門家らは、ベビーブーマーのウォルセへの転換は、若い世代が年配の世代を養う構造が、国内不動産市場に根を下させかねないと主張している。上の世代の生計の手助けとなる年金の財源を、下の世代が当てる方式と似ている。また、ベビーブーマーは、すでに資産を蓄積しているが、若い世代は、家賃の負担まで加わり、資産蓄積はさらに難しく、その期間も長引くという影響を受けている。最近、敷金引き上げ分9000万ウォンを工面できず、ウォルセを選んだ会社員のソン某さん(36)は、「共働きをしても毎月50万ウォンずつ払うのは大きな負担だ」と言い、「外食費のような支出を減らすしかない」と話した。

このような悪循環の輪を断ち切る有効な対策がない。政府がこれから傳貰物件を増やしても、直ちに効果を見ることができないからだ。李ヨンジン・ドクターマンション取締役は、「首都圏の売れ残りマンションを購入し、賃貸に転換すれば、直ちに効果を見ることができるだろう」と提案した。



tnf@donga.com