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米国の慰安婦決議案、日本の妨害をかわして議会通過まで

米国の慰安婦決議案、日本の妨害をかわして議会通過まで

Posted August. 02, 2007 03:05,   

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「This is…about comfort women issue」

今年3月から先月まで、米ワシントン議事堂内の議員会館でよく目撃された風景だ。「人権擁護」という文字が書かれた白いTシャツを着た60、70才代のアジア系の老人3、4人が、議員事務所のドアをたたく。

「どんな御用でしょうか」という質問に老人たちはつたない英語で「軍隊慰安婦問題」と答えるか、言葉なくカバンから資料を取り出して手渡す。そして、人権問題担当補佐官の名刺をもらって事務所を出る。

老人たちが去れば、補佐官と秘書たちは見知らぬ訪問者への好奇心で、資料をのぞき見る。そして、彼らが下院に提出された決議案121号(日本軍隊慰安婦決議案)支持運動を展開する韓国系有権者だったことを知る。

2日ほど経つと、議員や補佐官との面談を申し込む電話がかかってくる。今度は流暢な英語で、「韓国系有権者団体」と紹介し、「数日前、私たちの団体会員が貴事務所を訪問したが、説明したい」と要請する。老人たちが直接訪ねた気持ちを考え、議員や補佐官の大半が約束してくれる。

7月30日、米下院を通過した慰安婦決議案には、なんと168人の議員が共同発議者に署名した。アリがパンくずを運ぶように、在米韓国人有権者たちが足で動いて一人一人を説得した結果だ。

大型ロビー会社2社と大物ロビイストを多数動員した日本の妨害をかわして、決議案が通過されるまでには、このような在米韓国人の草の根運動が決定的な役割をしたというのが、同問題を見守る人々の一様の分析だ。

▲初めからともに〓韓国人活動家たちが決議案のために動き始めたのは、昨年の春にさかのぼる。

レイン・エバンス議員が、決議案を出すために共同発議する議員を探しているという知らせを聞いたニューヨーク・ニュージャージーの在米韓国人有権者センター(金ドンソク所長)の会員たちは、在米韓国人が多く住む地域の議員を訪ね歩いた。

しかし決議案は、下院指導部の反対で廃棄され、生涯を少数民族と弱者のために活動してきた「韓国人の友人」ことエバンス議員は、パーキンソン病で引退した。

その直後、日系3世のマイク・ホンダ議員が、同様の決議案を準備中だといううわさが聞こえてきた。しかしホンダ議員は、時間をかけて推進するという構想だった。在米韓国人の活動家たちはホンダ議員を訪れ、「推進力をつなげていくために、07年初めに上程してほしい」と頼み、彼はこれを受け入れた。

▲誠意のこもった募金の波〓ホンダ議員は、「決議案が成功するには、被害者女性が証言する聴聞会を開かなければならない」と構想した。問題は費用だった。聴聞会を開くには、約2万4000ドル(約2200万ウォン)がかかると推算された。

この知らせを聞いた篤志家たちが、財布をはたいてくれた。そのおかげで、韓国人の李ヨンスさん、金グンジャさんの外にも、オーストラリアに住むオランダ人被害者のヤン・ルフ・オヘルネさんをワシントン議事堂に招くことができた。

その後も、米紙ワシントンポストの全面広告の掲載などのための募金が続いた。金ドンソク所長が回顧する。

「4月初め、日系大物政治家のダニエル・イノウエ上院議員が、決議案阻止のために動いているという知らせにみな不安を感じている時でした。ニューヨークのある理髪店で客の洗髪をする仕事をしているという60代半ばの老人が訪ねてきました。タクシー費を節約するために、遠くから歩いて来たそうです。200ドルが入った封筒と客300人から受けた支持署名が書き込まれたノートを渡して静かに帰りました。その老人の後姿を見て、みんな「また頑張ろう」と決心しました」

▲足で動いた議会ロビー〓ニューヨークの在米韓国人たちは、3月22日から先週まで、10回もバスをチャーターしてワシントンに来た。多くの老人ボランティアたちは、チームを組んで、議員会館を回りながら支持を訴えた。

エバンス前議員と長く友情を交わしてきたワシントン挺身隊対策協議会のソ・オクチャ会長は、「エバンス議員の友人」であることを強調し、議員たちを攻略した。「エバンス議員の名前を使いたくはなかったが、そうでもしなければ、議員たちはボイス(音声)メールに答信してくれないからだ」

教会や韓国人マートなどを中心に展開された署名運動には、米国全域で8万人が参加した。ダンボール箱いっぱいに入った地域区民たちの署名録は、議員たちには少なからぬ圧力になった。議会指導部に手紙とカードを送る運動を展開した結果、トム・ラントス外交委員長の事務所だけでも、2000枚を上回るファックスが送信された。

▲急進的な中国系団体による困難を切り抜けて〓日本側のロビイストたちが執拗に掲げた主要論理は、「なぜ米議会が、北東アジア国家間の葛藤に割りこむのか。慰安婦決議案を通過させれば、さらに中国が南京大虐殺問題を持ち出すかもしれない」ということだった。

実際に、急進的な一部の在米中国系団体は、慰安婦決議案問題を南京大虐殺問題に拡大しようと試みた。韓国の一部市民団体も「なぜ中国団体と連帯しないのか」と述べて、在米韓国人活動家たちを非難した。日本のメディアは、背後に中国系がいるという陰謀論を唱えた。

このため、慰安婦決議案問題を韓日間の問題ではなく人権問題で接近しようとする在米韓国人活動家たちは、あちこちで困難を経験しなければならなかった。



sechepa@donga.com