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単なる「手助け」からみんなで「やりがい探し」へ

単なる「手助け」からみんなで「やりがい探し」へ

Posted January. 02, 2008 07:16,   

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高校の元教諭、ソン・テギュさん(68)はボランティア歴38年の「ベテラン・ボランティア」だ。週末を利用してボランティア活動をするソンさんは、隣人と共に生きるという実感が得られるという魅力を感じてボランティアを始めた。これまで、ソンさんの「ボランティア歴」には大きな変化があった。1998年までは、老人ホームや独り暮らしの老人を対象にした社会福祉型ボランティアと、町内の掃除のような努力型奉仕に多くの時間をさいた。しかし、1999年からは「専攻」を生かし、老人対象のハングル教育、青少年暴力相談のような教育奉仕にボランティアの分野を広げた。

しかし、物質的な価値に換算できないやりがいを感じるという点では、38年前も今も変わらない。ソンさんは、「厳しい境遇の一人一人を直接手助けするボランティア活動も重要だが、より多くの人々の力になれ、私のもつ知識と経験も活用できるという面から、ボランティアの分野を変えた」と話す。

▲広がるボランティアの分野〓ボランティア活動のトレンドが変化している。これまではボランティアといえば、通常社会福祉施設での奉仕を思い浮かべるのが常だった。社会福祉施設を対象としたボランティアの参加者がもっとも多いためだ。

しかし、ここへきて、社会福祉施設でボランティア活動をする人の、ボランティア全体に占める割合が減り続けている。一般的なボランティア活動分野とされる「環境保全と自然保護」「交通秩序の維持」などでも、事情は似通っている。

反面、公共機関で「地域社会の開発」「行政業務の支援」などのボランティア活動をする人は引き続き増加している。

韓国ボランティア協会が全国248のボランティアセンターで活動した参加者約1031万人の活動を分野別に分析した結果によると、昨年、社会福祉分野でボランティアに参加した人は全体の29%で、36%だった2005年に比べ7%減少している。

環境保全や自然保護に参加した人も全体の10.2%で、21%だった2005年に比べて半分近く減少している。交通秩序の維持も6.3%と、9%だった2005年に比べ減少している。

しかし、地域社会の開発・発展(16.5%)、公共行政分野の事務支援(6.5%)、公益事業の随行および住民の福利増進(9.6%)などは2005年に比べて増加している。

▲単なる手助けから社会還元のきっかけに〓専門家は、ボランティアの分野が多様化している要因を、ボランティアに対する人々の認識の変化だと分析する。かつては、ボランティア活動を、単に人の力になる行為と考えたのが、現在は、自身の知識と経験を社会に還元する過程で、達成感とやりがいを得るきっかけと認識しているということだ。

韓国国立リハビリ大学の李ソンロク教授は、「『恵まれない隣人を救おう』という趣旨からスタートしたボランティアが、経済成長で暮らしの質が向上するにつれ、いまや『自分の暮らしの質的な拡大』のためのものとなった」と話す。氏は、「経済成長と共に社会が複雑化し、個人生活の予測不可能性と孤独感も高まる」とした上で、「ボランティアから得られる喜びと安定感を通じて、このような不安を解消しようとする人が増えている」と付け加えた。

平沢(ピョンテク)大学社会福祉学科の金ボムス教授は、「経済と社会の発展に伴い、ボランティアの需要が増え、同時に一般の人の公共サービスに対する期待も高まった」とし、「これにより、ボランティアの分野も多様化した」と説明する。

▲趣味とボランティアを同時に〓最近は、趣味活動をボランティアにつなげ、「二兎を追う」人も増えている。

また、ボランティアの対象者は「貧困層」というイメージを破るケースも少なくない。音楽活動を趣味にしている小中高校の児童・生徒がメンバーの「ボランティア芸術団」がその代表。2002年、蔚山(ウルサン)でW杯ボランティア団体発足式のために誕生したこの芸術団は、最初からボランティアのために組織された。

約140名のメンバーからなるこの芸術団は、老人ホームや孤児院のような社会福祉施設で無料公演をするが、一般の公共施設でも多く野の公演を展開する。

同芸術団団員の金ドンオク君は、「ボランティアは恵まれない人を救うものという認識にこだわることはないと思う。平凡な人のためのボランティアも価値のあることだという意識をもって活動している」と話す。

先月発生した忠清南道泰安郡(チュンチョンナムド・テアングン)オイル流出事件の防災作業では、スキンスキューバを趣味とするグループが、海中の防災作業に参加した。

漢陽(ハンヤン)サイバー大学のク・ヘヨン社会福祉学科教授は、「個人の趣味と個性を大事にし、これを通じて自己実現しようとする現代人の欲求がボランティア活動にも表れている」と分析する。



turtle@donga.com alwaysj@donga.com