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個人の遺伝子有料検査、情報の信頼性と倫理問題が課題に

個人の遺伝子有料検査、情報の信頼性と倫理問題が課題に

Posted August. 09, 2010 06:46,   

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1997年封切られた映画「ガタカ」は、遺伝子情報で疾病の可能性だけでなく、身長、寿命など全てを分析し、優性・劣性を判断する社会が背景だ。遺伝子分析の結果、「暴力的で頭が悪く、31歳で死ぬ運命」だった主人公は、自分の夢の宇宙飛行士になるため、優性遺伝しを持った他人の検査結果を買い入れた。

韓国人のホン某さんは昨年、米国の個人遺伝子検査会社の「23andMe」で遺伝子検査を受けた。彼は自分のブログで、「検査結果、心血管疾病系統への危険度が高いという結果が出た。知能指数(IQ)と記憶力は平均以上、身長より平均より0.4センチ低いという分析も含まれた」と説明した。

映画的な想像力が約10年で現実になった。生命工学技術(BT)の発達により、最近、特定疾病に弱いかどうかから性格、外見など遺伝子に含まれた個人の全ての情報を把握する「個人遺伝子分析」が話題になっている。甚だしくてはあるケーブルテレビのチャンネルでは芸能人を出演させて遺伝子検査を行い、その結果を公開する番組まで製作している。多くは数千万ウォンがかかる検査費用を払ってでも分析を受けてみたいという人もいる。反面、専門家の間では「検証されていない情報で大衆を糊塗する」という批判の声も聞こえる。

●韓国ではまだ不法であるが…

テレビ番組で遺伝子分析を行ったソウル大学・遺伝体医学研究所の関係者は、「番組が放映されて以来、検査を受けたいという問い合わせが殺到している」と話した。しかし、研究所側は、「現行法上、商業的な遺伝子検査は不法に近いため、要請を受け入れていない」と説明した。現行の「生命倫理および安全に関する法律」は、疾病関連の遺伝子検査を医療機関で直接行ったり、依頼を受けた機関に限ってできるように制限している。研究所側は、「芸能人の検査結果は全て研究目的として活用される。放送は芸能人らが検査結果の公開に同意したために可能だった」と説明した。

しかし、個人遺伝子検査を行う海外の機関に依頼すれば、いくらでも遺伝子検査が受けられる。東亜(トンア)日報が「23andMe」など、米国の主要遺伝子検査機関に直接問い合わせてみた結果、「韓国人も検査が受けられる」という返事だった。ただ、韓国へ検査キット(唾液を入れる容器とこの容器を会社へ発送する宅急便の封筒)は発送しないという。韓国居住の人は米国に住む知り合いの助けを受け、検査キットを国際小包で受ける煩わしい過程を経なければならない。検査料は検査項目次第で400〜数千万ドルだ。

●「検証されていない情報で烙印」

三星(サムスン)医療院のキム・ジョンウォン診断検査医学科教授は、「疾病と関わりがあると知られた2万3000個あまりの遺伝体のうち、医学的に検証されたのは3000個ぐらいに過ぎない。残りはこれまで蓄積された遺伝子情報を統計的に活用して、『A疾病にかかりやすい人は、B遺伝子がたくさん発見された』ぐらいの確立情報であるだけ」と説明した。

検査結果がケースバイケースで違ってくるという主張もある。昨年10月、科学専門週刊誌の「ネイチャー」には「同じ遺伝子を持って遺伝子検査機関ごとに違う分析をしている」という米国の有力遺伝子研究機関のJクレイグヴェンター研究所のジョン・クレイグ・ヴェンター所長の寄稿が載せられた。ヴェンター所長は「5人の遺伝子を『23andMe』と『Navigenics』に同時に分析依頼した結果、一部疾病に対して全く違う分析結果が出た」と話した。両社は心臓病、全身性エリテマトーデス(SLE、結核性皮腐病の一種)などに対する発病危険検査で、5人のうち3人に対して相反する結果を出した。

遺伝子検査で疾病情報が分かっても現在までは何ら克服方法がないため、商用化や検査結果の公開は時期尚早という批判もある。順天郷(スンチョンヒャン)大学富川(ブチョン)病院のイ・ユギョン診断検査学科長は、「医学的な検証が行われていない疾病を遺伝子検査で診断したからと言って、予防できる方法は現在までない。社会的な混乱をもたらすばかりだ」と指摘した。

●「法に足を引っ張られると、技術が立ち遅れる」

ソウル大学遺伝体医学研究所は、「外見や正確などに関する検査は、人間の優劣を遺伝子で判断することなので、非倫理的だ」とし、「しかし、疾病部分は医学発展や社会的な公益の方がさらに大きいだろう」と主張した。検査結果が科学的に証明されていない部分だという主張に対しては、「内外の学会で新しく発表される論文の数十本を毎日分析して、そのうち研究機関や病院などで意味があると認める部分を研究と検査に反映している」と説明した。

実際、韓国はつい最近から遺伝子データーベース(DB)を蓄積し始めた反面、商用化が認められている米国では23andMeのような民間会社が約5万人のDBを保有している。遺伝子DBは個人ゲノム分析の中核であるため、韓国のこの分野で競争力を持つためには、活性化策を模索しなければならないという声が高まっている。



takeoff@donga.com coolup@donga.com