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70年ぶり…ウトロに希望の花が

Posted February. 12, 2011 03:31,   

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「数十年間、耐えてきた。この先、数年、待てないことはない」

8日、日本の京都府宇治市のウトロ地区。住民たちは、「70年が経って、胸の中のわだかまりが解けたようだ」と安堵のため息をついた。韓国政府が3日、ウトロ地区の土地の一部を購入したことで、「不法占有」という不名誉から抜け出せたのだ。日本政府と地方自治体は今後、同地区を再開発し、公営住宅にする計画だ。しかし、住民の30%が65才以上の高齢者なので、何よりも迅速な事業の推進が切実な状況だ。

●時計が止まった地区

ウトロ地区に入ると、まるで時計の針が数十年前に戻ったようだ。同地区の中央には、日本の植民地時代に韓国に徴用され、建設現場で働いた従業者らが集団で暮らしていた仮設の建物がそのまま放置されている。住居は、さびついたブリキやスレートが重ねられ、あちこちに並んでいる。道を一本挟んで建てられたきれいな日本の住宅街とはあまりにも対照的で、うら寂しさが増す。戦後65年の時が流れたが、日本に残された植民の傷はまだ癒されていない。

下水道や上水施設など、基本的な生活インフラは最悪だった。下水道が同地区を貫通しているうえ、地盤が低く、梅雨の度に水害を心配しなければならない。ウトロ町内会のオム・ミョンブ副会長は、「住民の半分以上が地下水に依存して暮らしている。水道の設置費より電気ポンプで地下水を使う費用が安いので…」と言葉を濁した。

劣悪な居住環境は、不法居住のためだった。第2次世界大戦後、この土地を所有する民間企業にとって、ウトロ住民は私有財産を無断で占拠する不法居住者にすぎなかった。住民がここに定着することになった歴史を考えれば呆れたことだが、仕方がなかった。このため、地方自治体の地域開発から疎外され、住民も無許可住宅を補修する経済的余裕がなかった。ウトロの現在の姿は、このような悪循環が数十年間続いた結果だ。

さらに、ウトロ住民は、89年にこの土地を取得した不動産会社が住民の退去を求める明渡し訴訟を起こしたため、追い出される危機に直面した。幸い、05年に日韓両国の市民団体が立ち上がって、土地購入のための募金活動を行い、韓国政府も07年、土地購入のために30億ウォン(約1億8000万円)を支援することを決定したことで、解決の糸口が見いだせた。

●日本政府の迅速な再開発が課題

韓国政府が設立した「ウトロ一般財団法人」が今月初めに購入した土地は、3808.40平方メートル(約1152坪)。市民団体の募金で作った「ウトロ民間基金財団」が昨年、1億3000万円で購入した土地2753平方メートル(約833坪)と合わせれば、ウトロ全体の3分の1に該当する。

管轄の地方自治体である宇治市と京都府、中央省庁の国土交通省は、今後、ウトロ地区の住居環境改善事業を行い、公営住宅のほかに道路や浸水防止施設、福祉医療施設などを設置する計画だ。3つの事業主体で構成された「ウトロ地区環境改善検討協議会」は近く、ウトロの住宅需要の実態調査を経て、住民の意思を最大限反映することを決めた。

しかし、解決しなければならない宿題は依然として残っている。まず、実態調査と建築設計、実際の建築期間を考慮すると、少なくとも5年という長い時間が必要とされる。最近の景気低迷による税収不足のため、日本政府が歳出を抑えている点も変数だ。今回購入できなかった3分の2の土地の所有権を持つ日本の民間企業との開発協議も必要だ。

現在、ウトロに居住する60世帯約180人の住民うち65才以上は49人だ。その中には、強制徴用の被害当事者である80才以上の高齢者も15人いる。今年69才で在日コリアン2世の金チュンゴンさんは、「10年前に敗訴した時は途方に暮れたが、このような喜ばしいことが起き、感謝している。死ぬ前にきれいな建物が建てられるのを見たい」と話した。

中村俊二・宇治市総務部次長は、「歴史的な問題もあり、長い間苦しい生活をしてきた人々なので、できるだけ早く推進することに意見の相違はない。しかし、税金がかかる問題なので、各行政機関の協議のために、やむを得ず時間が必要だ」と説明した。

日本市民団体「ウトロを守る会」の吉田泰夫さんは、「韓国政府と日韓両国の市民が力を合わせてここまで来た。これからは、日本政府が何かを示さなければならない。事業の推進が速度を出せるよう韓国人の持続的な監視と注目を望む」と話した。



changkim@donga.com