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タンクローリーが略奪対象第1位 バグダッド報告

タンクローリーが略奪対象第1位 バグダッド報告

Posted April. 21, 2003 22:13,   

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20日、バグダッドのチグリス川の東側にある旧中心街カラデ・ダクル街のアボクラム・ガソリンスタンド。動くのが不思議なほど古びたセダンが3列に並んで50mの列を作っている。助手席と後部座席には空のオイルタンクが山積みだ。注油の行列は15分にわずか5mずつゆっくりと移動した。

ガソリン価格は、1リットル当り15ID(イラクディナール)。戦争が起こる前より大きく値は上がらなかったが、絶対的な物量が不足している。他のガソリンスタンドはほとんど閉まっていた。このため石油をいっぱいにつめたタンクローリーは、略奪品目第1位に浮上した。

サウジアラビアに続き世界第2位の原油埋蔵量(1300億バレル)を誇るイラクが石油不足に苦しむとは・・・。25リットルのオイルタンクにガソリンを入れたある老人は、「フセインは女装して逃げた。そのために国民がこのように苦労している」と訴えた。

原油は、アラブ世界の平均的生活の質を高めたが、同時に市民社会の成熟を阻んだ。原油収入を独占した王家や権威主義政権は、友好階層に恩恵を与えて体制基盤を固めた。

フセインも70年代以降に急増した石油収入を活用して、公務員を2万人(1958年)→58万人(1977年)→82万人(1991年)と、幾何学的に増加させた。この官僚階層が、共和国防衛隊などの軍組織とともに堅固な権力基盤となった。全世界の産油国のうち民主体制が定着した国は、油田が発見される前に民主社会を形成させたノルウェーのほかにはないという。

18日に、バグダッドのクラパ街にある内務省所属の行政自治局建物で火災が発生した。野次馬に来たアフメッド・アラー(27)は、記者に「米軍が火をつけたに違いない」と言った。その理由を問うと彼は、「建物が使えなくなれば、再建する時に米国企業が入って来られる」と確信して言った。

米英連合軍は、バグダッドの政府総合庁舍の建物をミサイルで攻撃して破壊した。しかし、石油省庁舍は数千発の爆撃でも無事であり、米軍が真っ先に占領したと市民は信じている。

イラク人はこのように米国の「戦争の動機」に疑いの目を向けている。フセインを追放することは歓迎するが、「はたして米国がそのために戦争をするか」という考えだ。

原油をめぐるイラクと米国の悪縁は、63年にフセインとバース党が一時的に権力を取った時、米国が背後支援したことに始まる。58年にアブドール・カシム将軍が、「原油を売っているのに植民宗主国の英国に譲歩しすぎる」としてクーデターを起こすと、米国はイラク原油会社(IPC)が国営化することを懸念して、フセインを後押しした。しかしフセインは、72年に長期政権の幕を開き、IPCを突然国営化して米国の不意を突いた。

その後フセインは、原油収入の半分を軍隊や警察力拡大に注ぎ、隣国を脅かす国防力を培った。この点が米国を刺激して「大量破壊兵器(WMD)排除」という戦争の大義名分を与えたのだ。

イラク経済は、1日230〜240万バレルに達する原油輸出を除けば、なつめやし、羊毛などの輸出がせいぜいだ。今イラク国民の関心は、「原油収入がどのように分けられるのか」に傾いている。

米国が原油を売って今戦争の費用や平和維持費をつくるという計画は、イラク人の強い反発を買うことが明らかだ。取材陣が宿泊しているシェラトンホテルそばのフィルドス広場には、「イラクの石油をイラク人に」という垂れ幕とスローガンが掲げられている。

ブッシュ米大統領は、中国の毛沢東や旧ソ連のレーニン、リビアのカダフィ国家元首などが政権獲得の当初そうだったように、国家改造作業を楽観しているようだ。

しかし、取材陣が会った大半のバグダッド市民は、「米軍は秩序が回復すれば帰るべきだ」と声を高めた。急いで親米政権を発足させることが良策だろうか。イラク人にはもとより、中東の安定という米国の中長期的目標にも、得策ではなさそうだ。



朴來正 金晟圭 ecopark@donga.com kimsk@donga.com