中国社会科学院の中国辺疆史地研究中心(辺疆研究中心)が、高朝鮮から渤海までの古代史を、自国の歴史に歪曲した論文を大量に発表した。
中国政府の認識をそのまま反映する社会科学院が、韓民族の古代史を根こそぎ中国歴史だと、公式の研究成果として公表したのは初めてのこと。
これは歴史問題での摩擦を解消するため、2004年に韓中両国が交わした「口頭了解」を違反したものだ。
このため、韓中両国間で歴史認識をめぐる葛藤が再燃するものとみられる。
社会科学院は昨年9月、辺疆研究中心のホームページに発表したこれらの論文を、少なくとも年末までに正式出版する予定であるという。辺疆研究中心がホームページに発表したは、研究が完了した27編のうち18編で、いずれも要約版だ。
論文は、いずれも高朝鮮から渤海まで歴史が一脈相通じる韓民族の歴史ではなく、古代中国の地方民族政権の歴史で、中国歴史だと主張している。とくに渤海については、中国唐王朝が直接監督した郡地域に過ぎないと記述している。
張碧波研究員は「箕子と箕子朝鮮」という題下の論文で、「箕子を殷代の甲骨文字と前秦の記録から確認することができる」とし、「かれが韓半島に最初の地方政権を建てた」と主張した。韓国学界では箕子の存在自体が否定されている。
焦潤明研究員は論文「国際法と中国−北朝鮮の国境線問題論争」で、「そもそも漢江北部までが中国領土だったが、新羅や百済などの侵奪で領土を失った」と主張した。
魏国忠研究員が書いた「渤海国史」は、「渤海建国の主導勢力は高句麗人だけでなく靺鞨(まっかつ)族で、渤海の建国者大祚榮は渤海初期に靺鞨を正式国号に採択した」と主張した。
高句麗研究会のソ・ギルス理事長(ソギョン大教授)は、「論文の内容は東北工程を始めたときから出ていたもので、新しいことではない。しかし中国政府が、これを社会科学院の公式研究成果として認めて発表したという点で、鋭意注視するべきだろう」と話した。
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