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[社説]ダライラマも来れない国

Posted June. 19, 2001 10:01,   

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チベットの仏教指導者、ダライラマの韓国訪問がまたもや白紙に戻されたことは、実に残念だ。

「ダライラマ訪韓準備委員会」は一昨日、「外交通商部(外交部)が7月の韓国訪問の不許可を通知してきた」とし、「金大中(キム・デジュン)政権のもとでは再び韓国訪問を推進しないと」と明らかにした。同委員会は、去年から今回まで三回にわたり、ダライラマの韓国を推進してきた。

外交部は、首相が中国を訪れている期間中に彼の訪韓を許可するのは外交の慣例上困難であることを理由に挙げているという。

我々は、この問題をめぐり「肯定」と「否定」の間で揺れ動いている外交部の曖昧な姿勢も理解できない。最近は彼の韓国訪問にやや前向きな態度を示していたが、結局再び態度を変えた。先月末中国を訪れていた韓昇洙(ハン・スンス)外交部長官は、「韓国には宗教の自由がある。民間の活動を政府が封じることはできない」として彼の入国を許可することをほのめかしていた。

89年ノーベル平和賞を受賞したダライラマは、世界各地を訪問し物質文明に染まっている現代人に霊魂の世界を説くことに力を入れている。これまで、およそ50カ国を訪れ、最近も台湾や米国などを訪問した。常に中国と緊張関係にある日本にも10回訪問している。

彼のこのような活動はチベットを率いている政治指導者としてではなく、宗教指導者としてのものだ。今回の韓国側の招聘もあくまでも民間レベルで行われたものであり、韓国を訪問する場合、講演など文化や宗教的行事だけで日程が組まれる予定だった。

なのに、唯一韓国だけが彼の訪問をはばかっているのは、政府が中国の顔色ばかりうかがっているためだ。中国は「宗教指導者という名のもとで、中国の分裂を煽る分裂主義者だ」として彼の訪韓を許可しないよう求めてきた。

もちろん、外交的、経済的な実利を重んじなければならない政府としては、中国の要求を無視するわけにはいかない面もあるだろう。経済分野で中国に対する依存度がどの国よりも大きく、南北関係において中国の支持が欠かせない時期に、中国をいたずらに刺激するのは望ましくないとの判断もあるかもしれない。

しかし、とはいえ、文化的価値や精神世界を受け入れる韓国の包容力が狭いことは、あまりにも悲しいことだ。経済など目に見えるものばかりにとらわれ、精神的な面をおろそかにすれば、国際社会から「文化的な主体性のない国」だと評価されるのではないか、懸念を抱かざるを得ない。国際社会における韓国の地位は、けっしてそれほど低いものではないはずだ。