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[社説]住居地域の「発ガン物質を含んだ空気」深刻さ増す

[社説]住居地域の「発ガン物質を含んだ空気」深刻さ増す

Posted March. 15, 2002 09:28,   

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ソウルの住居地域の空気から、工業団地の周辺で検出される量に近い発ガン物質が発見されたという報道は、私たちがいかに劣悪な環境の中で暮らしているかを克明に物語っている。澄んだ空気ときれいな水を提供するのは、環境政策の基本である。にもかかわらず、ソウル市カンナム区デチ地区の空気が、シファ工業団地やインチョン埋め立て地の、汚染した空気と変わらないという。いったい、政府の環境政策はどういうものなのか疑わしい限りだ。大規模アパート団地である上に、住居環境も優れているとされるデチ地区がこの程度だとすれば、他の地域は調べても無駄に違いない。

今回、環境部が測定した大気中に含まれる有害物質のうち、ベンゼンとスチレンは代表的な発ガン物質である。

調査結果、デチ地区のベンゼン濃度は、埋め立て地に近いインチョン市ヨンヒ地区よりもずっと高く、スチレンはシファ工業団地付近の数値を上回っている。これは、国内の大都市の大気中に含まれる揮発性の有機化合物質が、1万人あたり7人の割合でガンを引き起こせる水準であるとした、ヨンセ大学環境公害研究所の調査結果とも一致している。当然のごとく、最近ガンが、韓国人の死亡原因のトップに挙っているのも不思議ではない。

さらに呆れることは、未だこれらの有害物質に関する排出許容基準すらないということだ。日本はすでに、ベンゼンなど3種類の有害物質に関する環境基準を定めている。米国は、環境基準だけでなく、更にこれらの物質が健康に及ぼす影響まで測りながら、細心の管理を行なっている。

先進国だけではない。中国も今年初めに「公害との戦争」を宣言しているのだ。このように、大気中に含まれる有害物質を管理することが、環境政策の争点となって久しいにもかかわらず、私たちは基準はおろか、ようやくここに来て最初の測定を終えたというから、環境後進国と言われても仕方がない。

工業団地でもない住居地域の大気をこのように汚染させる主犯は、自動車の排気ガスだ。従って、きれいな空気を取り戻すための優先的な課題は、車の排気ガス基準を強化する一方、ガソリンのベンゼン含量を下げることである。これとともに、大気中の有害物質に関する基準を設けるべきだ。国民に健康な生活環境を提供するのは、国の基本的な責務なのだ。