Go to contents

[社説]有能な人材に見放される理工系の危機

[社説]有能な人材に見放される理工系の危機

Posted August. 22, 2007 06:21,   

한국어

「科学者と工学者には国境がない」という言葉がある。実力さえあれば、あの国この国から来てほしいというスカウトのオファーが多いためだ。このため、理工系離れとなっているということは、それだけ研究環境が劣悪だということを意味する。ソウル大工学部が教員6人を新規採用しようとしたが、適任者がおらず1人も選べなかったという。国内の理工系大学が海外の競争相手に比べ、どれほど遅れをとっているかを如実に示している。ソウル大学がこのような現状なのだから、他の大学はもって知るべしだ。

ソウル大工学部側は「40人あまりの志願者のうちに、目を引くような候補者がいなかった」と明らかにした。国内外の有能な人材から見放されている格好だ。ソウル大学教授になれば、ほとんどは前の職場より低い待遇に甘んじることを余儀なくされるからだ。ソウル大学が新任教員に与えられるインセンティブとは、せいぜい初任教員の年俸を支給することだ。研究費は、すべての教員に均等に配分される。先進国の名門大学が有能な教員候補に、実績によるインセンティブのみならず、住居提供と子女の教育費、ひいては配偶者の就業まで保障し、積極的に迎え入れているのとはあまりにも対照的だ。

ソウル大学が既存の規定を破り、破格の待遇を約束すれば、実力ある教授を確保することができるだろうが、現実的にそれは望み薄だ。国立大学の硬直した運営が足かせとなっている。このように立ち遅れた環境で実力ある人材が志願する方がむしろおかしいくらいだ。外国にいる韓国出身の人材に対し、何のインセンティブもなしに愛国心に訴えるなど、もってのほかだ。

理工系大学離れの傾向がこのように学生に続き、教員にまで拡大しているのはただならぬことだ。有能な教員が確保できなければ、国内の理工系大学が提供する教育の質は低下する一方だ。危機の悪循環につながりかねない。

各国は理工系人材の誘致を国の死活問題として位置づけ、積極的に取り組んでいる。米国が今後3年間数学、科学、工学の研究と教育におよそ433億ドルをつぎ込む「米国競争法」作りに取りかかったのは、中国とインドが海外に出ている自国の理工系人材を積極的に呼び戻している動きに触発されたところが大きい。国力と同義語になってしまった理工系人材を確保するため、画期的な対策を打ち出さなければならない。