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[社説]北朝鮮拉致被害者・元国軍捕虜の送還、旧ドイツ方式は可能か

[社説]北朝鮮拉致被害者・元国軍捕虜の送還、旧ドイツ方式は可能か

Posted October. 24, 2011 03:46,   

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柳佑益(リュ・ウイク)統一部長官が、北朝鮮拉致被害者や元国軍捕虜の問題解決の方法の一つとして、「フライカウフ(freikauf)」モデルを提案した。フライカウフは、西ドイツが東ドイツにいる反体制人物と政治犯を引き受けるために見返りを支給した方式で、「自由を買う」という意味だ。西ドイツは、1963年から1989年までに3万3755人を引き渡した東ドイツに、見返りとして34億6400万マルクに相当する現物を渡した。1人あたり約10万マルクだった。当時の為替レートで見た場合、1人あたり平均5300万ウォンに相当する。

社会主義計画経済の失敗で財政破綻に陥った東ドイツが「政治犯商売」に積極的に出たのも、フライカウフが成功した背景だった。抵抗勢力が大きくなることを憂慮した東ドイツ政府としては、金も得て、社会不満勢力も追い出せるので、一挙両得だった。しかし、この方式を韓国と北朝鮮にそのまま適用するには、現実的に困難だ。北朝鮮は、元国軍捕虜・拉致被害者の存在自体を否定し、話をしようともしない。慮武鉉(ノ・ムヒョン)政府当時、元国軍捕虜・拉致被害者をいわゆる「特殊離散家族」に分類し、離散家族再会の度に4〜5人ずつ含め、再会させたのがすべてだ。

南北が合意しても、石油、貴金属などすぐに現金化が可能な現物を送った西ドイツ方式は困難だ。西ドイツは統一後、ホーネッカー東ドイツ書記長が現金化したフライカウフ資金の60%に相当する21億マルクを回収したが、北朝鮮は状況が異なる。金が入れば核兵器と大量破壊兵器の製造に血眼になるのが金氏王朝だ。送還の見返りに過度な身代金を要求する場合、かえって韓国が窮地に追い込まれる可能性もある。

北朝鮮が犯した悪行に補償することに対しても、論議を呼ぶ素地がある。韓国政府は、イ・インボ(93年)と非転向長期囚63人(00年)を何の条件もなく送還した。本人の意志に反して抑留された拉致被害者や元国軍捕虜との交換も要求せず一方的に送ったことは大きな失策だ。北朝鮮には、拉致被害者517人と元国軍捕虜500人余りを生存していると推定される。

韓国戦争の時に拉致された被害者の家族会は、拉致被害者を忘れず、送還の努力を続けるという意志の表現として「忘れな草バッジ」運動を行っている。北朝鮮の燿徳(ヨドク)収容所に収容されている「統営(トンヨン)の娘」申淑子(シン・スクチャ)氏と2人の娘の話も胸が痛む。難しいとあきらめてはならない。北朝鮮の堅い壁を突き破り、私たちの兄弟姉妹を連れ戻す案を現実的に講じなければならない。