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[オピニオン]女性とサッカー、そして政治

[オピニオン]女性とサッカー、そして政治

Posted May. 28, 2002 22:36,   

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女性が最も聞きたくない話は、男性が軍隊の話をすることだという。それよりもっと聞きたくないのは、男性が軍隊でサッカーをした話だそうだ。それだけサッカーは、女性とは縁遠いスポーツだった。

先日の日曜日、ワールドカップ(W杯)の熱気を感じてみようと生まれて初めて訪れたサッカーの競技場は、女性のサッカーファンであふれていた。韓国の応援団「レッドデビルズ(赤い悪魔)」のかなりの数が女性だという事実に驚き、また喜びを覚えた。最近は、全国に約50の主婦サッカー団があるほど、女性とサッカーは近い仲になった。

人類の歴史は、ひと言で言えば、少数の特権層から多数の大衆に、権力が分散される方向に発展してきたといえる。サッカーの発展は、まさにこのような歴史の発展と一脈合い通じる。エリートのスポーツとして始まったサッカーが、労働者をはじめ全国民から愛されるようになったのは、ボールひとつあれば、どこでも楽しめる庶民的な運動だからだ。さらに、そこには男性的運動という点も一役買っている。このような点で、これまで権力から徹底的に疎外されてきた女性が、サッカーを楽しむようになったという事実は、意味深長である。

しかし、韓国の女性サッカー人口の底辺拡大が、女性の権限の伸長とは無関係だというところに問題がある。2001年に国連開発計画(UNDP)が発表したジェンダー・エンパワーメント測定(GEM)で、韓国は64カ国のうち61位と、依然として後進国の水準を免れなかったのに対し、女性人力開発の程度を示す人間開発指数(HDI)は、162カ国のうち27位だった。十分に訓練された女性資源が、韓国社会で正当な待遇を受けていないことを、端的に示している。

ジェンダー・エンパワーメント測定が低い原因の一つは、女性の政界進出が不振であるからだ。女性の政界進出をさえぎる要因は多様である。しかし、多くの主張が、経験的資料によって裏付けされない神話に過ぎない。最も代表的な神話は、女性が女性を選ばないという主張だ。無論、人口の半分である女性がみな女性を選べば、女性候補は難なく当選するだろう。しかし、すべての女性が女性を選ばなければならないという主張は、すべての男性は男性だけを選ばなければならないという主張と同様、非理性的だ。実際、女性は男性に比べて女性候補をより支持すると、韓国女性政治研究所の研究結果で明らかになっている。

もう一つの神話は、女性は当選率が低いから公薦できないということだ。しかし、延世(ヨンセ)大学のシン・ミョンスン教授は、女性候補の当選率が、男性に比べてむしろ若干高いことを発見した。女性は公薦を受けることは難しいものの、いったん公薦を取りつけた女性は、男性より資質が優れているため、当選率が高くあらわれたとみえる。そして、最近のある世論調査では、回答者の78%が、同じ条件なら基礎地方自治体の首長に女性を選ぶと答えた。有権者は、女性候補を選ぶ準備ができていることがうかがえる。

問題は政党だ。今回は下からの公薦を口実に女性候補を退け、かえって過去より状況が悪化した。これまで総裁や党支部の委員長が自由に決めた上からの公薦では、なぜ女性を公薦しなかったのか。憲法や関係法令を改正して、政党が女性の政界進出を保障するヨーロッパ諸国はもとより、台湾と比べても、苦しい言い訳である。

結局、政治の門戸を女性に開放しないのは、それだけ政治には、女性と分かち合いたくない秘密が多いという証拠ではなかろうか。ならば、女性政治家の増加なくして、韓国が腐敗共和国の汚名をそそぐことは、容易ではなさそうだ。いかなる国家の国会や政府でも、女性の参加が10%増えれば、世界銀行と国際透明性機構の国家清廉度指数や腐敗指数がそれぞれ0.25、1.2ポイント改善されるという研究は、女性がなぜ政治に参加しなければならないかを端的に物語る。

試合終盤にフランスが3度目のゴールを決めたが、フランス選手のハンドリング反則があった。しかし、審判が、韓国に同点ゴールのチャンスのペナルティーキックの機会を与えなかったことから、応援団がペットボトルをグランドに投げつけた。フランスチームのゴールキーパーは、ペットボトルをグランドの外に投げるのに大変そうだった。その時「投げるな」「やめろ」という声がした。女性サッカーファンの声だった。秩序の乱れたムードを女性サッカーファンが正すように、女性政治家も、不正腐敗と反則だらけの韓国政治を正すことに大きく貢献するだろう。

世界がひとつになる祭り、2002韓日W杯が成功裡に行なわれ、同時期に実施される全国同時地方選挙では、女性候補が躍進することをともに期待する。

鉠己淑(チョ・ギスク)梨花女子大学国際大学院教授(政治学)