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[オピニオン]チョコレート

Posted February. 13, 2003 22:49,   

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ある米国の作家は、イタリア・ヴェネツィアを、チョコレート酒が一杯入っている箱のようなところだと表現した。美食家に愛されているその地域では、200年前に全ヨーロッパを舞台に好色家として名を馳せたカサノバが女性たちと前戯として楽しんだ料理を、現在も売っている。新鮮な牡蠣(かき)、「ヴェネチアのキャビア」と呼ばれるボラの卵などが、彼が催淫剤として食べた料理だ。しかし、カサノバを愛していた女たちが彼に食べさせたがっていたのは、チョコレートだった。その理由は何だろう。「食べること、飲むことの心理学」を書いた米国ニューヨーク・テクノロジー研究所の副所長、アレクサンドリアが、その解答を出した。「特定の食べ物が愛の妙薬だという研究は発表されていない。たった一つ、チョコレートを除いては」

◆チョコレートには、「愛の分子」と呼ばれるPEA(フェニルエチアミン)が含まれている。これは、愛が最高潮を迎えたとき、脳から活発に分泌される化学物質だ。16世紀前半、原産地の南米からヨーロッパに紹介されて以来、チョコレートは「スペインの女性たちがこの黒い色の飲み物の前ではめろめろになってしまうといわれるほど、人気が高かった。バロック時代に入ってからは、国民の生活を乱すといって禁止されたこともあった。このような愛の物質の外にも、チョコレートに含まれている糖分と脂肪は、私たちの体の中にある味覚の遺伝子が魅せられる成分だ。口の中で柔らかく解けてしまう感触もなんとなく官能的だ。チョコレートが恋のプレゼントとして選ばれたのにも、歴史的な根拠があるといえる。

◆一部では、国籍不明のバレンタインデーが、「チョコレート商売」の一環として無駄使いを助長すると非難している。愛を告白するなら、むしろ「国籍のはっきりしている節句」七夕にしろ、と怒りをあらわにする人もいる。。しかし、バレンタインデーが根拠のない西洋の節句とはいえない。約1740年前、ローマ皇帝クロディウス2世が若い男たちを戦争に動員するために結婚を禁じる命令を出すと、熱い情熱を抱いていたバレンタイン司祭は、死を覚悟の上で反旗をひるがえした。愛せよ、告白せよ、結婚せよ、と。皇帝の怒りを買って、投獄された司祭は、監獄の中で看守の娘と運命的な恋に落ちる。そして、処刑場に向かう際、彼は、恋人にメッセージを送る。「あなたのバレンタインから」

◆メッセージが恋人に渡されたかどうかは定かでない。ただ、確かなのは、ローマ法王にこの悲しく感動的なラブストーリーが伝えられ、バレンタインは恋人の守護聖人と位置づけられたことと、498年に、法王ゲラシウスが、2月14日をバレンタインデーとして公式に指定したということだ。このような美しい日に、はにかみ屋の若者たちが、一大決心をして、チョコレートで愛情を告白することが、「かの集団」の賄賂のやり取りよりも不道徳だといえるだろうか。些細な事から愛情と意味を見つけ出す若い恋人たちを、寛容に見つめることはできないのだろうか。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com