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[オピニオン]「儒教10万大蔵経」

Posted April. 27, 2004 22:34,   

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伝統的に韓国は記録を重視する民族だった。代表的な例が1997年にユネスコから世界記録遺産に指定された「朝鮮王朝実録」である。初代の太祖から哲宗にいたる朝鮮の25代王まで472年間の史実を年、月、日の順に編年体で詳細に記録した計1893巻888冊の膨大な「朝鮮王朝実録」には、自ずと頭が下がる。王の御幸、王室や国家行事を絵を付けて詳しく書いた「儀軌」もまた、高級な装丁と精密な描写で記録文化の真髄として挙げることができる。

◆民間の記録文化もまた、国家のそれに劣らない。李舜臣(イ・スンシン)将軍の勝利と白衣従軍の苦悩が盛り込まれたかの有名な『乱中日記』、金九(キム・ク)先生の熱い愛国の魂が切々と伝わってくる『白凡逸誌』がそれである。戦乱と独立運動の切迫した状況の中でも筆を止めなかったのだ。全国各地の名門宗家が所蔵している儒者の文集と書簡もまた、韓国人の驚くべき記録文化の伝統を物語っている。来世を認めなかった儒者らは、全ての事実を記録に残すことで、後代の歴史家から正当な評価を受けることを願っていた。

◆だが、我々祖先のこうした記録熱は、日本帝国主義の植民地支配を経て現代に至り、衰えていった。二人のエリート史官から言動の一つ一つまで監視されていた王とは反対に、大韓民国の歴代大統領は「単独会見」を好む。任期中の制作推進に関する重要な文献はいち早く焼却もしくは廃棄処理したり、退任後の政治的な駆け引きを念頭において私邸に持ち込んだりした。政府が国家記録に対する体系的な整備に乗り出したのは、光復55年後の2000年に「公共記念物管理に関する法律」が公布されてからのこと。

◆韓国国学振興院と東亜(トンア)日報主管で「儒教10万大蔵経収集国民運動」を展開することを決めたのは、韓国の誇り高い記録文化の伝統を蘇らせるためである。専門家の推算によると、朝鮮時代には文集刊行などのために民間だけで少なくとも約40万枚の木版が刻まれたという。所蔵者の所有権を認めることにしているため、各宗家でも以前と違って関心と期待を見せているというのだから、どうか「仏教8万大蔵経」を乗り越える成果を収めることを望む。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com