Go to contents

[オピニオン]「腐敗連座制」

Posted May. 28, 2004 22:54,   

한국어

ある若者が大学を卒業し、公務員試験に合格した。ところが発令がでない。「身元照会」で、親族が越北(進んで北朝鮮に渡ること)したことが明らかになったためだ。ある会社員が海外出張命令を受け、パスポートの発給を申込んだ。ところが、発給が拒否された。父親が思想犯であるとの理由だった。今ではほとんどなくなったものの、10〜20年前まで、私たちの周りで見かけられる風景だった。これは、親戚の中に「問題人物」がいる場合、進学、就業、海外出張など、社会生活に不利益を伴なう連座制(縁座制)から来ているものだ。

◆連座制の歴史は長い。高句麗(コグリョ)、百済(ペクジェ)、新羅(シルラ)は、反逆者の家族を奴婢にしたり、打ち首にしていた。朝鮮時代には、連座の範囲を具体的に明示した。謀反大逆罪の場合、罪人は全身を切断して殺し、父親と16歳以上の息子は絞首刑に処した。16歳以下の息子と母親および妻妾は、奴婢にした。

さらに、罪人の家族を辺境に移住させることもあった。この連座制は、1894年の甲午(カボ)の改革(金弘集ら開化派が、政治制度を近代的に改革したこと)の際に廃止されたが、その後日本による植民地時代と南北分断の過程で再び復活した。とりわけ、分断という韓国の事情がら、多くの被害者をつくりだした。映画「実尾島(シルミド)」で、ソル・ギョングの役は、越北した父のせいで連座制に引っ掛かり、社会に適応できないまま、暴力団となった人物。

◆野党ハンナラ党が、政治家の腐敗行為に対する連座制の導入を進めるということだ。「政治家の配偶者、随行秘書、運転手、執事など、代理人や側近が賄賂を受取ると、本人が受け取ったものと見なして処罰する」との条項を、腐敗防止法や刑法に盛り込もうというのである。かつてとは性格が異なるものの、連座であることには違いない。「手先」だけが処罰を受け、「黒幕」は法の網から逃げ延びるケースが数多とあるわが国の現実政治において、制度として定着すれば、腐敗を追放する一つの方法になり得ると思ったのだろう。

◆しかし、目的が手段を全て正当化するとは限らない。いくら志は良くても、法の原理に反するものであるなら、問題がある。憲法第13条第3項は「すべての国民は、自らの行為ではない、親族の行為により、不利益な処遇を受けないものとする」と規定づけて、連座制を禁じている。大事なことは、そうした制度ではなく、政治家やその周りの人々すべてが、自ら腐敗には染まらないという心構えを、内面化することである。「心—行動の連座制」とでも言うべきだろうか。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com