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[オピニオン]真のスーパーマン

Posted July. 19, 2006 03:01,   

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絶望的状況に忽然と現われて多くの人を救うスーパーマン。米国映画『スーパーマン』は1930年代に初めて制作され、大当りとなった当代のブロックバスターだった。大恐慌の煽りで失意に陥った米国人らは、マンガの主人公のような超人を求めた。フィクション映画のとんでもないスーパー英雄だが、絶望と挫折に陥った米国人を一気に捕らえた。

◆1970年代の米国の低迷期に映画スーパーマンはもう一度復活する。クリストファー・リーブ主演にマーロン・ブランド、ジーン・ハックマンなど助演のリメーク作が爆発的な人気を集めた。ベトナム戦争で敗れて無気力症に陷った米国人が、自分たちを慰めてくれるスーパーマンを切に望んでいた状況だった。しかし、1980年代にレーガノミックスに象徴される経済回復期に入り、米国のスーパーマンブームは後退する。スペースシャトルを打ち上げる米国は、スーパーマンなんは要らなくなったようだった。

◆韓国版スーパーマンの活躍が話題だ。15日に江原道麟蹄郡北面(カンウォンド・インジェグン・プクミョン)のある村で、「登山家8人」が大雨に襲われた住民50人余りの命を救った。水の勢を避けて屋根に上がって救助を待っていた人々を安全な地帯に移したのだ。住民たちがロープで救われるやいなや、大雨に流された建物もあった。海外登山のために訓練中だった登山家らがスーパーマンになったのだ。彼らは乗っていた車がすべて水に流され、バス便でソウルに向かった。スーパーマンらはお礼を後にしたまま発ったと言う。映画の最後の場面のようだ。

◆最近、米国で『スーパーマンリターンズ』が制作され、喝采を浴びている。21世紀に再び「超人」が戻ってきた背景には、9・11同時多発テロ後の危機意識、イラク戦争の長期化による疲労感、経済・社会的な低迷などがあると言う。安保と経済事情によって不安で虚しくなった韓国人にも、登山家スーパーマンの出現は慰めになる。彼らはフィクションの中ではなく、切迫した水害現場で救助を求める住民たちを救った。空に飛ぶこともできず、素敵なマントはないが、真の英雄だ。セットの装置も、再演もない命をかけたドラマだから、より感動的だ。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員skim@donga.com