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[オピニオン]逆転人生

Posted December. 12, 2008 04:31,   

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2年前、日本で「かつらボクサー」の逆転人生が話題になった。脱毛に苦しんだ小口雅之さん(30)は、かつらをつけて職場に通う合間に、チャンピオンになる夢を育て、ボクシングの練習に没頭した。しかし、試合の途中、かつらがとれたシーンがテレビで中継された。恥をさらしただけでなく、会社が「ボクシングの副業」を問題視して解雇したため、突如失業者になった。

◆しかし、不運は幸運に変わった。かつらと発毛剤の会社からコマーシャルの出演依頼を受けた。職場に行かず、ボクシングの練習に邁進したことで、07年にスーパーフェザー級日本ランキング12位にまではい上がった。コマーシャルの出演で縁ができた発毛剤を熱心に塗り、髪の毛も増えた。7月、韓国ドラマ『大王四神記』の主人公ペ・ヨンジュンを真似た「ヨン様かつら」をかぶってリングに上がり、11連勝した。危機の中でもユーモアと余裕を失わず、ボクシングに没頭したのが、逆転人生の秘訣だった。

◆『深い河』、『沈黙』といった宗教小説で、韓国人にも馴染みのある日本人作家・遠藤周作は、「突然の不幸が襲った時、逆転の発想で、何か得ることができる方法を思案せよ」と助言する。ある青年が彼を訪れ、「口下手で孤立している」と打ち明けた。遠藤は、「自分のことが言えなければ、他人の話をよく聞くという才能で逆転できる」と忠告した。数日後、青年は、「会社生活も円満で、友人もたくさんできた」と喜んだ。どこでも流暢で言葉巧みな人よりも、他人の言葉を傾聴して共感する人が、人の心をつかむのだ。

◆フィリピン出身の労働者バルヤさん(31)は、京畿道竜仁市(キョンギド・ヨンインシ)の部品工場で働いていたが、外換(ウェファン)銀行マニラ支店の銀行員に変身した。ハナ銀行の李ソウォンさん(33)は、アルバイトで入社して、課長にまで昇進したケースだ。李さんは、「大したことのない地位でも、真面目に働けば、顧客と同僚がみな私の味方になる」と話した。人生を変える「一発」は、宝くじではなく、危機を機会に、不幸を幸運にできるという逆転の発想から生まれる。「人生で無駄なことは何もない。挫折、失敗、病気の中でも一縷の可能性を見出して具体化できる『思考の力』さえあれば、過去の損害も利益に逆転できる」(遠藤)

許文明(ホ・ムンミョン)記者 angelhuh@donga.com