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[オピニオン]慎ましい哀悼

Posted November. 19, 2009 09:30,   

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東洋の古典である論語には「楽而不淫哀而不傷(楽しみて淫せず、哀しみて傷らず)」という言葉がある。楽しくても淫りに流れず、哀しんでもやけになるなという意味だ。孔子がよく強調した中庸の精神とも通じている。最近、釜山(プサン)室内射撃場火災で亡くなった日本人犠牲者遺族の「慎ましい哀悼」を見て、「哀而不傷」を思い出した。

◆軽快に出発した海外旅行で、無惨な事故に遭遇した家族に遺体で会わなければならない遺族の悲しみと衝撃がどれほど大きいか、察するにあまる。事故翌日の15日、韓国に到着した日本人遺族らは、最大限感情を押し殺し、悲しみを心の中に押し留めた。血走った目で怒りを露にする姿は、見られなかった。事後収拾要求は、釜山駐在日本領事館を通じ、韓国の関係当局に伝えられた。遺族が涙で訴える記者会見のようなものはなかった。

◆日本人遺族らの慎ましい哀悼は、他人の前では感情を露にすることを敬遠する日本式葬儀文化と関連が深い。日本のメディアも、国内外で自国民が命を失う事件や事故が発生すれば、内容と原因を忠実に伝える。主観的判断で読者や視聴者の感性を刺激したり、葛藤を扇いだりはしない。さらに、特定の方向に扇動する報道は、タブー視されている。遺族が遺体を担保に極限の闘争をすることもない。国ごとに文化の差はあるが、静かに「死者に対する礼」を守る日本の葬儀文化は、円滑な事後収拾策を引き出す助けになる。

◆韓日政府とメディアは今回、被害者側に最大限、配慮することで、葛藤が大きくなることを防いだ。韓国政府は、大統領と首相が直接遺族に謝罪の気持ちを伝えた。東亜(トンア)日報も、社説と小説家・李スンウォン氏の寄稿文を通じ、犠牲者を哀悼した。日本政府とメディアも、韓国に対する非難を自制し、韓国政府の迅速で心からの謝罪を「韓日友好関係の進展」という点で評価した。尊い命を失った両国犠牲者を哀悼し、両国民がより一層近づく「転禍為福(禍を転じて福と為す)」の契機になることを願う。

権純活(クォン・スンファル)論説委員shkwon@donga.com