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[オピニオン]未来への時間旅行

Posted May. 05, 2010 06:57,   

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アイザック・ニュートンとアルベルト・アインシュタインに続き、「宇宙の秘密に一番近づいた物理学者」と評される英国ケンブリッジ大学のスティーブン・ホーキング教授(68)は、ひたすら本のみで知識を得るばかりが勉強ではないということを示してくれている。オックスフォード大学に通っていた時代には、体重が軽いという理由で、漕艇チームのコックスを務め、一週間に6日を川で過ごした。筋萎縮性側索硬化症(ALS)にかかり、車椅子生活を余儀なくされ、気管支の切除手術を受け、音声合成装置を用いて意思表現をするが、講演とTV番組を通じ、難しい物理現象を平たくわかりやすい言葉で説明し、大衆に近づいている。

◆ブラックホール理論の創始者であるホーキング博士が、最近想像力を刺激する興味深い理論を相次いで打ち出している。来週、ディスカバリーチャンネルで放送される「スティーブン・ホーキングの宇宙」というドキュメンタリー番組のインタービューで、彼は「ほかの星に外界生命体が存在すると信じる。だが、接触は避けるべきだ」と述べた。自分の惑星にある資源を枯渇させた宇宙人が流れ者になってほかの惑星を征服し、植民地化する可能性があるということだ。映画「アバター」で、資源枯渇に直面した人類が、パンドラ惑星の資源を目当てに、ナビ族を追い出そうとする設定の逆の状況だ。

◆宇宙人の存在論に続き、ホーキング博士は、同じ番組で未来への時間旅行が可能だと主張した。相対性理論によると、時間旅行をするためには、物体が光より速くなければならない。ところが、光より速い物体はない。よって、時間旅行は不可能だということが定説だった。しかし、ホーキング博士は、時間旅行が可能な根拠として光速に近い速度で飛ぶ宇宙船での一日は、地球での1年に匹敵し、この際の加速運動をする物体の周辺で時間が遅くなると説明した。ただ、過去への時間旅行は「原因が結果に先立つべきだ」という原則に反するため、不可能だと付け加えた。

◆時間旅行は、人間の好奇心と探求欲を無限に高める。そのため、実現不可能なことであることを承知しながらも、数多くの小説、漫画、映画が時間旅行と空間移動を素材としている。ホーキング博士も、「過去への時間旅行をするならば、マリリン・モンローに会いたい」と話している。いずれにせよ、彼の時間旅行可能論は、人間の固定観念のひとつをまた打ち破るものだ。未来に向かうことが、サイエンス・フィクション(SF)の中の話のみではないと、世界的な碩学が語っているのだから、彼のタイムマシーンに一度乗ってみたいものだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com