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[オピニオン]海兵隊に志願したヒョン・ビン

[オピニオン]海兵隊に志願したヒョン・ビン

Posted January. 14, 2011 08:27,   

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「金持ちは我々とは違う」。1920年代、米国の黄金時代を描いたフランシス・スコット・フィッツジェラルドの長編小説「グレート・ギャツビー」(1925)に出る言葉だ。当時の上流層は、受け継いだ財産で政界や財界、社交界で大手を振った。それなら21世紀のスーパーリッチ(super rich)はどうだろう。卓越した能力をテクノロジーや世界化によって最大化し、膨大な年収を受け取っている「労働富裕層」だ。活発な慈善活動により、ノブレス・オブリージュ(高貴な身分に伴う社会的義務)を実践するものの、一般人とはかけ離れて暮らす。

◆SBSのドラマ「シクレットガーデン」で、ヒョン・ビンが演じる最高経営者(CEO)、金ジュウォンも、一般的なドラマの財閥2世とは異なる。「産神のランダム(random=無作為の)配置のおかげで」金持ちに生まれたが、「あなたが思っているより、一際能力のある」スーパーリッチだ。デパートを引き継ぎ、最上流層への戦略マーケティングで、業界トップになった。米名門大学を卒業した彼に、スタントウーマンのキル・ライムのように、「貧しく、疎外された隣人」と出くわす機会があるはずがない。

◆「不思議でどぎまぎしていた」あの女が、「一緒にいれば、全てのことに同化する」段階までは、シンデレラのドラマのようだった。しかし、結婚も、「一世一代の買収合併だ」と信じきっているスーパーリッチの金ジュウォンは、その女に対し、「適当な時期に、人魚姫のように消えてほしい」と要求する。彼が、その女性の環境まで受け入れるようになったのは、2人の体が入れ替わり、試練を共有してからだ。消防士の父親が殉職した後、「国からの支援金」で生きてきたと、その女が話すと、男は、「(税金を)さらに収めればよかったのに」と低い声で答える。

◆このカドナム(にべもなく堂々とした男の)役割を、ヒョン・ビンではなく、他の男が演じても、「ジュウォンぞっこん」のファンが溢れただろうか。投げかける台詞で生意気な態度をとっても、すぐ胸をわくわくさせる目線を演じる役者はまれである。ドラマでとりわけ指導層の道徳的義務を強調した金ジュウォン役のヒョン・ビンが、海兵隊に志願したことが明らかとなり、話題を呼んでいる。与党ハンナラ党の田麗玉(チョン・ヨオク)議員は、「最近の『ノブレス(高貴な身分)』は、芸能人と言っても過言ではないが、ヒョン・ビンがノブレス・オブリージュを実践した」と歓迎した。男性の一部からは、軍隊がなぜ道徳的義務なのか、まともな訓練すら受けるはずがないという反応を見せている。しかし、権力者の子供からは、そのような事例もあまりなく、口にできる言葉があるはずがない。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com