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[オピニオン]反パワーポイント党

Posted July. 19, 2011 07:30,   

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闘病中でやつれていても、スティーブ・ジョブスのカリスマは相変わらずだった。今年3月、米サンフランシスコで開かれたアップル社のタブレットPC−iPad2の新製品の発表会。ジョブスは、ビジュアル中心の単純で強烈な画面を背景に、ユーモアと毒舌をまじえて核心メッセージを伝え、観衆をひきつけた。自然なように見えて、実はへとへとになるまで徹底的に練習するのがジョブズのプレゼンテーションの秘密だと、ビジネスウィーク誌は紹介した。

◆公務員らは、重要な報告の前には、パワーポイントの作成に必死だ。講義の準備よりパワーポイントの作成が大変だと教授は訴える。彼らのために、「反パワーポイント党(APPP=Anti PowerPoint Party)」が生まれた。スイスのソフトウェア・エンジニアで働き、スピーチ講師に転職したマティアス・ポエム氏が5月に結成した党で、パワーポイントのない世界を目指す。発表の度にパワーポイントが登場するため、聴衆は講師に集中できないだけでなく、事案を単純化し、実際には効果も大きくないということだ。このために浪費される金が世界的に年間3500万ユーロだと、英フィナンシャル・タイムズが報じた。

◆「このパワーポイントをすべて理解すれば、私たちは戦争に勝てるだろう」。アフガニスタンに駐留するスタンレー・マクリスタル米軍司令官は、パワーポイントで軍事戦略の報告を受けていた時、このように言って周囲を笑わせたことがある。スパゲティの麺のような図表が見にくいだけではない。状況をすべて把握したという幻想を与え、批判的な思考と思慮深い決定を妨げるという批判も出ている。若くて賢明な将校がパワーポイントにかかりきりになることは浪費だという見方もある。05年、イラク北東部の都市で成功的な軍事戦略を遂行したHRマクマスター将軍は、パワーポイントのプレゼンテーションを禁止したほどだ。

◆パワーポイントが報告と講義の効率を上げた点も無視することはできない。しかし、講義室で電気が消えてパワーポイントがつくことで、授業を「鑑賞」したり居眠りする学生が増えた。パワーポイントの内容はコンピュータに保存してあるので、集中して聴くこともない。公務員が発表した内容が十分でなくても、華やかなパワーポイントのおかげで上司に評価されたとしたら、それは公正であると言えるだろうか。韓国でも反パワーポイント運動が必要かも知れない。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com