Go to contents

[オピニオン]イム・ユンテクと悪質コメント

[オピニオン]イム・ユンテクと悪質コメント

Posted February. 13, 2013 03:39,   

한국어

「本当にがんです」。がんであるだけでも辛いのに、がんが事実だと説明までしなければならないなら、その辛さはどれほどか。11日に天国に行った「ウララセッション(ULALA SESSION)」のリーダー、イム・ユンテク氏(33)がまさにそのケースだ。2011年、ケーブル放送のオーディション番組「スーパースターK」で優勝してスターになった彼は、ステージ4の胃がんであることを明らかにし、イシューメーカーになった。しかし、一部のネットユーザーが「本当にがんなのか」、「まだ生きているのか」、「同情を誘って人気を得ようとする手だ」などと非難を浴びせると、昨年6月に主治医の診断書まで公開した。辛いことだが、彼は死をもって悪質コメントの主張が偽であることを明らかにすることとなった。

◆故人は生前にがんと闘いながらも希望を捨てなかった。闘病中も、コンサートとレコード制作、学校暴力撲滅の講演まで、活発に活動した。主治医だった延世(ヨンセ)大学医学部のラ・ソンヨン教授は、「別のがん闘病患者と比べてもよく耐えている。特有のポジティブなメンタルのためだろう」と話した。坑がん治療による身体的・感情的苦痛をグループのリーダーとしての責任感と仲間への愛情で克服した。にもかかわらず一部のネットユーザーは、「がん患者がどうして笑って走りまわれるのか」、「1年後には奇跡的に完治したと記者会見をするだろう」と中傷した。

◆イム氏は、悪質コメントも笑ってやり過ごすほど毅然としていた。父親が悪質コメントのインターネットアドレス(IP)を調べて告訴を準備すると、「若い人が多い。将来がある」と止めた。むしろツイッターに、「悪質コメントを書いてくれた方々はコンサートのチケットを送るので、直接公演を見に来てください。それでも気に入らなければ仕方ないけれど、努力しているということだけでも分かってください」と書き込んだ。テレビ番組に出演しては、「その人の立場で考えると、誤解することもある」と「度量の大きな」理解を示した。しかし少なからぬ傷を負ったことは間違いない。

◆人気芸能人に対する悪質コメントの攻撃は、昨日今日のことではない。歌手ユニやトランスジェンダータレントのチャン・チェウォン、タレントのアン・ジェファン、トップスターのチェ・ジンシルが自ら命を絶った背景に悪質コメントを無視することはできない。タブロは、米スタンフォード大学の卒業が偽造だというネットユーザーを名誉毀損で告訴し、長年の闘争の末、免罪を晴らした。しかし、大半は一人で悩むだけだ。イム氏が亡くなった後も悪意のコメントが書き込まれている。小説家の李外秀(イ・ウェス)氏は、イム氏が息を引き取った後、「短かったが誰よりも真実であり、誰よりも情熱的で、誰よりも偉大な生涯を生きた」と追悼の言葉と共に、「今日のような日はどうか悪質コメントがないことを願う」と述べた。悪質コメントを書く人は、自分の行動を振り返り、故人の愛と情熱から学んでほしい。故人の冥福を祈る。

申然鐏(シン・ヨンス)論説委員 ysshin@donga.com