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韓国型武侠は愛を選んだ

Posted May. 26, 2005 03:25,   

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25日、チャン・ボゴの死で大団円の幕を閉じたKBSドラマ『海神(ヘシン)』。放送期間一貫して30%を上回る視聴率を記録した『海神』は、チェ・スジョン、チェ・シラ、ソン・イルグク、スアなどの出演俳優たちの充実した演技と華やかな衣装、精錬されたアクション・シーンなどの見どころで、多くの話題を呼んだ。

放送街では、『海神』の成功に対して、単なるドラマのヒット以上の意味を付与する。歴史を素材にしたドラマのパラダイム転換が始まったということだ。

文化評論家のキム・ホンシク(32)氏は、「『茶母(タモ)』でその糸口が見えた韓国型武侠ドラマの可能性が、力強い男性性と肉体性が全面に配置された『海神』で、より強く確認された」と話す。

●珍しくて馴染みのある武侠『海神』?

『海神』は歴史を素材にするが、従来の歴史ドラマと製作の公式が異なる。『海神』のカン・イルスPDは、「主人公の政治的性向がもたらす葛藤構造、自然に偉大な人物になる意図的な英雄づくり、多くの登場人物など、大河ドラマを作る定型化したフレームから脱しようとした」と話した。『龍の涙』などの従来の人気歴史ドラマは、主人公と政敵となる人物が、ストーリーを導く葛藤構造を作り出す。また主人公は、天が選んだ英雄であり、多くの周辺人物が現われて、ストーリー展開によって消えていく形式だった。それに比べて『海神』では、チャン・ボゴが王建(ワン・ゴン)や李舜臣(イ・スンシン)よりも多少自然な人物として描かれ、主人公と数人の周辺人物中心のアクションを軸に、ドラマの集中度を高めた。

従来の歴史ドラマの特徴は排除されたが、『海神』が珍しいというよりも馴染みのあった理由は、韓国人たちにとってビデオで見慣れた武侠ドラマの公式に従っているためだ。

武侠物の作家の会である「Go武林」の会員たちは、『海神』が、典型的な武侠物の構造を持っていると分析する。△主人公の修行の過程が比重をもって扱われ(チャン・ボゴがチェ・ムチャンから武芸を学び、厳しい剣闘士の訓練を受ける点)、△超人的な主人公の武芸と、序列化した武術の実力(武術レベル1位チャン・ボゴ、2位ヨムジャン、3位ヌンチャン、4位チョンヨン、チェ・ムチャンといった序列が決まっており、順に闘えば順位が高い者が勝つ構造)が設定されて、△主人公の肉体的な能力によって問題が解決される方式(奴隷身分を脱する方法は武術大会での優勝)である。

●視聴者は主人公の愛を望む

しかし『海神』は、中国の武侠ドラマとは、完全に違った特徴を持つ。中国武侠と『海神』の決定的な違いは、愛と侠のどちらに重心を置くかだ。

『海神』には華やかなアクションが登場するが、これよりも重要なのは主人公の愛である。『茶母』でも話の中心にはラブストーリーがあった。しかし、侠を重視する大半の中国武侠では、主人公と女性の愛は枝葉に過ぎない。

このような相違は、劇中のキャラクターにも異なった形で現れる。中国武侠ドラマの主人公は、侠か侠でないかによって善悪の区分が明確な平面的な人物だが、愛を重視して成功した韓国武侠の主人公は、随時に変わる愛の感情ほど、複雑なキャラクターとして描かれ、これが魅力の要素になる。

『海神』のヨムジャン(ソン・イルグク)や『茶母』のチャン・ソンベク(キム・ミンジュン)は、時には主人公と対照となるが、悪の軸と言うよりもむしろ視聴者から共感される。多くの視聴者たちは、チャン・ボゴよりもチョンファ(スエ)に対するヨムジャンの叶わぬ愛に切なさを感じた。

●『海神』の成功、他のドラマにも影響

中国の武侠と韓国型武侠の歴史ドラマのさらなる相違は、歴史的な実存人物を扱う方法だ。中国の武侠の場合、実存人物はたいてい主人公の背景人物にとどまるが、『海神』では歴史的人物が主人公だった。

ケーブル・チャンネルの武侠テレビのイ・ゲテクチーム長は、これに対して「主人公がフィクションの人物である時、理想的な侠客に作ることはむしろ易しい」とし、「中国の人々は、空を飛ぶなどの荒唐無稽な幻想が好きだが、韓国人は、武侠の場合も度が過ぎた誇張より、最小限、実在に基盤を置くことを好む」と話した。

『海神』の成功は、今後放映される広開土大王を素材にした『太王四神記』など、他の歴史素材ドラマにも影響を及ぼすものと見える。

『太王四神記』製作担当のイ・ヨンミンPD(チョンアム・エンターテイメント)は、「まだ準備段階だが、『太王四神記』は『海神』と似たト−ンで、武侠のスケールはさらに大きくなるだろう」と話した。



zozo@donga.com