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ゴリラが照らしてくれた美しい自閉児の魂

ゴリラが照らしてくれた美しい自閉児の魂

Posted February. 11, 2006 06:33,   

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少女は幼い頃から他人との意思疎通ができなかった。それで酒を飲んだ。自閉症状と同性愛的傾向のため、暴力的な攻撃にさらされ、16歳のときに学校を止めて家出をし、ホームレスの生活を始めた。「孤独な行為」である踊りのみを唯一の慰めにした彼女は、ストリップショーのダンサーになって男たちが小銭を入れる硝子箱の中でダンスをした。

「正常」に対する社会的圧力に押されて孤独だった彼女を助けてくれたのは、人ではなくゴリラだった。彼女の魂が「世の中の歪んだ人々の見せ物になって、窓格子に閉じこめられて苦しんでいるとき」、檻に閉じこめられたゴリラたちが鏡のように彼女の魂を照らした。ゴリラを通じて自分自身を見つけた著者は、幼いときの夢を活かして現在人類学教授になった。

この本(原題『Songs of the Gorilla Nation』)は、動物による自閉症治療のための成功談ではない。著者は依然として自閉症を患う。ただ自分の症状を世の中を眺める一つの方法にして、人々と共存する方法を学んだだけだ。同書は、著者がゴリラの助けで「自閉症が垂れこめた真っ暗な闇の世」を通り抜けて、「自閉症の美しい世界」に向かう過程を感動的に見せてくれる。

著者は言語と認知能力などは正常だが、意思疎通の能力が不足で反復行動に夢中になり、感覚が過度に鋭敏な「高機能」自閉児だ。そのせいで36歳になるまで自分が自閉症であることさえ知らないまま迷っていた著者は、偶然に動物園に行って、人生を変える経験をすることになる。

閉じこめられたゴリラに対する人間の態度が、人間が今まで自分に接してきた方式と似ていると感じた著者は、人々の間では考えられない方式でゴリラを観察しながら、人の心を理解し始める。

ある日、腎臓炎にかかったゴリラのニーナが食事を拒否すると、ゴリラのフィートとジュリーはニーナに木の枝を投げかけた。観覧客はゴリラたちが争っていると騷ぎたてたが、ニーナは結局起きて食べ物を食べ始めたし、フィートとジュリーはそんなニーナを嬉しそうに眺めている。ある存在が他の存在を気づかう心、怒りとユーモア、宗教的感性をゴリラから学びながら、著者は自分自身について肯定的に考え始めた。人類学者になりたかった幼いときの夢を思い出してみて、一度も経験したことのない情熱で、自分の夢に向かって進んだ。

著者の忘れられないゴリラはコンゴだ。気分が晴れないある日、著者がコンゴの檻の前で涙を流すと、コンゴは著者が寄り添って泣けるように肩を貸してくれた。相手を気づかうコンゴの威厳を直接経験しながら、著者は以前は考えたことのない方式で人間を理解し始める。

死を控えたコンゴに「You’re my sunshine」を歌った著者は、解剖されて米国全域に移送されたコンゴの遺体の代わりに、一握りの毛を持ってアフリカへ行き、大地に戻してやる。そして、自分自身を社会に投じ、世の中を受け入れ始める。著者が恋人のタラに会って人工受精で息子テリックを得たのは、そのように世の中を受け入れた産物だ。

幼い時から「他人と共有することのできない驚異的なことや無惨なことを、すべて文章で表現」してきたお陰で、著者が敍述するゴリラとの交感は限りなく美しい。8歳のとき「私の人生は終わり」と感じた著者は、もうこんなにまで言えるようになった。

「私は自分自身を祖先と次世代、自閉の人と『正常』の世界、類人猿と人間を結ぶ橋のように感じる。自分の潜在力を最高に発揮している人は、誰でもそんな感じを受けるだろう。これは歌一曲を完璧にマスターしたのと似ている。その歌は歌詞とメロディーを思い浮かべなくても自然に流れ出る。ゴリラ王国の歌がそうだ。私は日々それを歌う。」

原題『Songs of the Gorilla Nation』(2004年)。



susanna@donga.com