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映画「あの年の夏」 初恋への切ない思い出

映画「あの年の夏」 初恋への切ない思い出

Posted November. 23, 2006 07:29,   

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●1969年、「あの年」の運命的な恋物語

「有難いだけです。とても典型的な返事ですが…他の返事は考えられません。釜山(プサン)ではお酒を飲んで夜明けに帰ってくるのに、その時間まで待っていました」

彼は京畿道(キョンギド)の田園住宅に住んでいるが、ある日本人女性は彼の隣家を買った。普通そんなファンを見れば男たちはこう言う。「主人がゆるしてくれるのかな」。未来の夫人が他の俳優にそうしたらどうかと聞いた。ただちに、「むかつきます」と答える。彼も普通の韓国男だ。

映画『あの年の夏』は、大学教授であるソクヨン(李ビョンホン)が放送番組を通じて昔の恋人のジョンイン(スエ)を捜すことから始まる。二人は、ソクヨンが大学生時代、農村にボランティア活動に行って出会った。しかし、彼らは時代状況のため別れるようになる。

李ビョンホンは映画で、20代初盤と60代の姿を演技する。「真摯な映画なのに、私がお爺さんに扮装した姿が滑稽ならどうしようと本当に心配しました」。

映画は1969年の時代相を再現するため、ロケと衣装、小品に念を入れた。正統メロだが、彼の友達役のオ・ダルス、放送局プロデューサ役のユ・ヘジンなどコミックな助演たちが笑いも与える。

「映画では一つの村に見えますが、実は、夏に、慶尚道(キョンサンド)、忠清道(チュンチョンド)、全羅道(チョンラド)を回りながら撮りました。ところが、オ・ダルスさんと一緒に過ごす時間が多すぎて、私とダルスさんのメロではないかと勘違いしました」

一言するたびに度に彼は笑い続ける。

●メロ映画はファンタジー

映画のタイトルは元々「夏物語」だった。

「製作社がタイトルを変えると賞金を50万ウォンかけたんです。私が出したタイトルが選ばれたのに10万ウォンしかくれないんです。同じタイトルを書き出した人が5人いたそうです」

現場で、彼は絶えず監督に意見を提示する、「監督を苦しめる俳優」で知られている。比較的静的だった『あの年の夏』のシナリオも、李ビョンホンのアイディア洗礼を受け生まれ変わった。そのお陰で、自転車に乗ってから降りた時、「ズボンがお尻に入ったの」を抜く動作、電気屋から流れ出る音楽を聞くスエを眺める姿など繊細なシーンが含まれた。

映画の中のソクヨンは一生、ジョンインだけを愛する。一生の間一人の女性だけを愛するのが可能だろうか。「一生を通じて愛が持続したというよりは、若い時代に一人の女性を愛し、以後、愛と表現できそうな感情がなかったということでしょう。実はとても難しいことですが、実際にそんな愛は大変ですから。メロ映画は一種のファンタジーを与えなければならないのではないでしょうか」。

漠然とした質問だが、彼に、「愛が何だと思うか」と聞いた。何の返事もなかった。窓を通じて遠い所を眺めていた彼が口を割った。「自我を捨てる瞬間ではないでしょうか」。素敵な返事だと言ったら、彼はまた、歯をむき出しにして笑った。そんなに目の前でしきりに笑えば、困るんですよ。



yourcat@donga.com