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[オピニオン]雨に濡れた本、雨漏りする文化政策

[オピニオン]雨に濡れた本、雨漏りする文化政策

Posted July. 26, 2001 08:51,   

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最近の大雨で、ソウル鐘路区(チョンロク)一帯の書籍問屋街および地下に入居している大型書店が大きな被害を被った。書籍問屋が密集している鐘路5街路の本屋街だけでも、被害量は100万〜200万冊、金額にして60億〜70億ウォンにのぼるとされる。出版文化協会側は「他の商品と違って、本は一度濡れてしまうと再生が不可能なため、被害が深刻だ」として、国レベルの支援を求めた。

しかし、果して国からの支援が、どのように行われるかについては予測できない状態だ。

政府が法律的な根拠を調べ、行政的な手続きの可否を論じている間に、知識基盤社会に向かう上で最も必要とされる重要な血管の一つが動脈硬化を患い、結局は、零細な本屋街の商人たちと劣悪な出版環境の中で苦しんでいる出版各社が、自腹を切って痛みを分かち合う状況が展開される可能性が高い。

近代化への革命で急激な人口の移動が発生した時、本は最も重く煩わしい引越し荷物であった。しかし、この本こそ世の中の近代化を主導し、近代民族国家の結束力を引出した媒介だったのである。

ところが、後期グーテンベルク時代を先導するIT革命の波の中で、今にも本の有用性がなくなるかのごとく本を疎かにする現象が蔓延している。文化観光部の2002年度予算に対する企画予算処の1次審議によると、公共図書館の建設費100億ウォンは大幅な縮小対象に、公共図書館の図書資料購入費の150億ウォンは、全額削減対象に上がっている。雨に濡れて陽が当ることを待ち望んでいる哀れな本から、雨漏りのする文化政策を目にしている思いがした。

IT革命が、紙の本に代わる電子ブックをもたらすかも知れないが、コンテンツそのものを生産するわけではない。韓国がIT革命を通じて情報ハイウェイづくりに励んでいる間、先進各国では、その新しい路を通して流すべく文化コンテンツの育成に力を入れている。国境の境界線は低くなっているが、文化的なアイデンティティーをめぐる葛藤は一層激しくなり、血縁を媒介にした民族は弱くなっている一方で、文化を媒介にした民族の結束力はむしろ強くなっている。本は、このような結束力の最も中心に立っている。

雨に濡れて定価での販売が困難な本は、国が全量買取り、新しい民族共同体の基盤づくりに活用してこそ、文化が支配する21世紀に備える正しい国家戦略といえる。これは、敢えて新たに予算を組むほどのことでもない。

既存の学術振興財団、国際交流財団、在外同胞財団、南北協力基金、教育部の国際協力事業などの一環として、雨に濡れた本を買取り、北朝鮮の同胞や海外同胞、さらに農漁村の奥地に送ろうではないか。雨に濡れた本を受け取ってもらえるだろうか心配ですって?1999年ロシアの沿海州に海外奉仕活動にでかけたハンシン大学の学生たちが、リュックの中にラーメンの代わりに古本を持って行き、ウスリスクのカレイスキ(韓国系ロシア人)に渡したことを思えば、それは奇遇にすぎない。雨に濡れた本であっても、ハングルで書かれた本に飢えている海外同胞には、嬉し涙に濡れた本になることだろう。

キム・ミョンソップ(ハンシン大学教授、国際政治学)