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[オピニオン]東アジアの協力と平和の道を開く

[オピニオン]東アジアの協力と平和の道を開く

Posted November. 06, 2001 10:59,   

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ブルネイの首都で第5次「東南アジア諸国連合(ASEAN)+韓中日3カ国」の首脳会議(ASEANプラス3)が開かれた。この13カ国の第1次首脳会議が開かれた1997年は、あいにくにも韓国を含むアジア諸国が金融危機に見舞われた時だった。その後、毎年のように首脳会議は開かれたものの、東アジア各国は経済危機克服に専念していたため地域協力を積極的に推し進める状況ではなかったた。

しかし、今回の「ASEANプラス3」首脳会議は、東アジア協力体の形成に新たな活力を吹き込むものと期待される。

なかでも金大中(キム・デジュン)大統領は、ブルネイの首脳会議で「東アジア共同体」の建設を目指す東アジア・ビジョングループ(EAVG)報告内容の採択を提唱したことで、東アジア域内の協力増進において韓国が中心的役割を担う意思を明確にした。EAVGは、金大統領が98年に提言し、13の加盟国の学識者ら26人で構成された民間レベルの機構で、筆者も同グループの一員として報告書の作成に加わった。

EAVGは、報告書の中で経済だけでなく政治、安保、社会、文化、教育などの諸分野での協力を目的とする「東アジア共同体(East Asian Community)」の構成を提案した。このような共同体創設には、経済分野が牽引役を果たすことになるものと期待されている。経済協力に向けて、EAVGは、東アジア自由貿易地帯(EAFTA)、通貨基金(EAMF)、投資地域(EAIA)の設置を提案しており、そのうちEAFTAは、東アジアで世界貿易機関(WTO)やアジア太平洋経済協力体(APEC)の先を行く日程での貿易自由化を想定している。EAVG報告書は、さらに、今後「ASEANプラス3」首脳会議を「東アジアサミット」に発展させることを提案した。これは、ASEANが主導してきた東アジア13カ国の首脳会議が、今後は東北アジアでも開催されることを意味する。報告書は同時に、官民で構成された「東アジアフォーラム」を設けるという提案も盛り込んでいる。

東アジア協力体構成の動きに対しては懐疑的な見方もある。現在のようなグローバル時代に、さらに地域共同体が必要かということだ。約10年前、マレーシアのマハティール首相が「東アジア経済協議体(EAEC)」を唱えた時、米国、カナダ、豪州などは、排他的な機構となる可能性があるうえ、APECを弱めるという理由で反対した経緯がある。

しかし東アジアが、地域協力を強めて共同体を目指すということは、欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)のような他の共同体に対応することだけのことを目的としているのではない。

東アジア共同体を構成する目的は、大きく5つ挙げられる。第一に、東アジア国家間の葛藤を解消して平和を増進することだ。なかでも中国と日本の協力と均衡が必要だ。例えば、欧州共同体(EC)やASEANの最も大きな成果の一つは、域内協力と平和をもたらしたことだ。第二に、交易、金融、経済発展などにおいて、域内協力を強化することだ。究極的には地域の経済共同体を目指すものといえる。第三に、経済だけではなく、環境、教育、資源などの分野で、協力し合い効率的かつ民主的な統治体制作りに共に努力しよう、ということだ。第四に、東アジアの両輪を成す東南アジアと東北アジアの協力と結束を図ることだ。最後に、相互間の交流と協力を通じて、東アジアの連帯感とアイデンティティ作りを目指すことだ。

このような東アジア共同体作りの過程で、韓国としては特有の中心的な役割を果たすことができる。韓国は、東北アジアでは中国と日本の間で、また東アジア全体から見れば北東アジアの強国と東南アジアの中小国家との架け橋となり得る。一方、米国をはじめとするアジア太平洋地域の他のAPECメンバー国としても、韓国が先導することによって、東アジア共同体への疑念もある程度静めることができるはずだ。韓国が主要国として参加する地域共同体の誕生は、韓国としては外交上の立場を広げるだけでなく、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係においても役に立つはずだ。ECの存在が、東西ドイツ関係に潤滑油の役割したという事実に注目しなければならない。

韓昇洲(ハン・スンジュ)高麗大教授(政治外交学科)