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[オピニオン]技術者のいない国

Posted November. 08, 2001 10:14,   

한국어

私は一時、なぜ韓国は後進国になったのか、という問いに頭を悩ませたことがあった。多くの国の中で、なぜよりにもよってこの国に生まれたのか、ということから始まり、どうして祖国大韓民国は弱小国になったのか、について考えるようになった。弱小国になった理由にはいろいろある。その中でも最も重要なのが技術不足だった。

では、なぜ技術がなかったのか、と問うなら、それは優秀な技術者がいなかったせいだ。さらに問うなら技術者をさげすんだせいだ。朝鮮時代の技術者が「息子には技術を伝えない」と言って死んでいったというから、これでは技術が発達するはずがない。技術がないから、モノが作れず、武器も作れないというぐあいにお手上げ状態だった。その結果、国民は国を奪われる苦難を強いられ、国が分断するつらさも味わっているのだ。

2002年度大学入学のための修学能力試験があった。ところが、今回の修能試験の受験者の系列分布は、この国が朝鮮時代に回帰していることを示している。

73万8000人の受験者のうち、理工系の学生が27%の19万9000人、人文社会系の学生が56%の41万6000人だという。残りが芸術・体育系で、16%の12万3000人だ。人文系の試験を受けて自然系に進学する交差志願学生がいるものの、その割合は微々たるものだ。

国家再建を唱えて、技術主導の政策を行なった1970年代には、大学入試で理工系の受験者が断然多かった。そのおかげで多くの優秀な人材が理工係に進出した。それで、彼らが40、50代になった今日、半導体、自動車、船舶などの輸出品を作っているのだ。

しかし、1990年代に入って状況が変わり始めた。科学技術者に対する待遇が思わしくなく、自然系に行けば苦労だけするという認識が広がり、自然系の学生が減りだした。1994年には、人文系と自然系が45%と肩を並べ、芸術・体育系は8.8%だった。

その後、理工系は43、42、43、42、39、34、29%と、毎年平均2%ずつ減少した。一方、人文系は1.2%ずつ、芸術・体育系は0.9%ずつ増えた。そうしてついに理工系学生が4分の1になる状態にまで来てしまった。このような現象は当分続くだろう。来年には理工系学生が25%、その次ぎの年には23、21、19、17%まで減少するだろう。

現代社会を技術覇権主義社会と言ったりもする。技術のない国家は、まさにできることがほとんどない。経済、国防、文化のどれ一つをとっても、自主的にやっていけない。製品は技術者の手と頭によって作られ、そこにサービスや文化を加えて、付加価値が高められる。すなわち、まず製品を作る人がいれば、その次に3次産業の付加価値を上げることができるということだ。

現在の学生達の進路動向を見れば、10〜20年後の国家の人材構造がわかる。人口の4分の1だけが、製品作りに従事し、残りはその上に肉付けする人文芸術分野に従事するだろう。そうなればこの国はどうなるだろうか。人口の50%以上が製品作りに従事する他国と競争できるのだろうか。

さらに社会で求められる人材を調べてみると、約3分の2が理工系専攻者だ。現在、大学卒業者の求職難が深刻だというが、会社では求める人材を得ることができず頭を抱えている。社会が望む分野の教育がなされなかった結果だ。現在のように4分の3が人文系と芸術系に進出すれば、彼らの職場はどこにあるだろうか。

手遅れになる前に対策を立てなければならない。このまま放っておけば、将来はあまりにも暗い。一部の志ある人々が、子供達に科学図書をプレゼントして科学の夢を持たせようという「サイエンス本スタート運動」を展開しているものの、これだけでは力不足だ。

理工系では勉強が大変で、良い成績がもらえないのに反し、人文系や芸術・体育系に行けば、良い成績が得られるという話もある。バランスが崩れているのだ。学生が理工系への進出をはばかる理由を調べて、それに相応する誘引策を立てなければならない。政府の役割とは、必要なことがうまくいかない時に、うまくいくようにすることなのだ。

イ・クヮンヒョン(KAIST未来産業教授、本部客員論説委員)