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「生命バンク」「確率の低いロット」臍帯血の効果めぐり論議

「生命バンク」「確率の低いロット」臍帯血の効果めぐり論議

Posted June. 01, 2003 22:02,   

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10余りの臍帯血バンクが、言葉通り「血の飛び散る競争」を繰り広げている。ある会社はテレビコマーシャルを流し始め、各社が顧客の関心を引き付けるためにテレビ広告など、さまざまな販促活動に乗り出している。このように競争が激化しているのは、このビジネスが「お金」になるためだ。

業界の推算によると、現在新生児全体の15〜20%が臍帯血を保管している。こうした勢いが続けば、市場規模が3000億ウォンを突破するのは時間の問題とみられる。しかし、多くの専門家はこうした現象についてやや懐疑的だ。

▲臍帯血バンクと移植〓臍帯血バンクは、へそのおから血液の幹細胞である「造血母細胞」を80〜150ccを抽出して冷凍保管しておき、後で子どもや家族が白血病や特定疾患にかかった時移植するというもの。

現在、移植のための臍帯血を買うには約800万ウォンかかるのに対して、臍帯血バンクの保管費用は一度で100〜170万ウォンぐらい。臍帯血の移植は、以前は骨髄にのみ入っているとされていた造血母細胞がへそのおにも入っている事実が明らかにされたことで可能になった。

▲臍帯血移植の長所〓臍帯血バンクは、臍帯血移植の場合、手術後、ドナーの血液が患者の体を「敵」と思って攻撃する傾向が少ないと説明する。

骨髓移植の場合、細胞壁ごとに付いていて、免疫係が彼我を区別する一種の識別記号である6つの「ヒト白血球抗原(HLA)」のほとんどが一致していないと移植が不可能だ。しかし、臍帯血移植は4つ以上が一致すると移植が可能だ。また、骨髄移植は現実的に骨髄を求めるのが大変なので、臍帯血の保管は万一の場合、家族の命を救うことができる。

▲「ロット保険」だという主張〓大勢の医師は、臍帯血を保管しておいても、実際に使う可能性があまりにも少ないため、「ロット保険」だと酷評している。臍帯血移植が可能な子どもは、白血病、再生不良性貧血など血液疾患や、神経我細胞種、遺伝的代謝疾患などを患う患者に限られる。

理屈では最大10万人のうち7、8人に移植の恩恵が受けられるが、子どもの白血病患者の60〜80%が抗がん剤だけで完治できるので、あえて臍帯血移植は要らないということだ。しかも、臍帯血がまともに保管されていないと、いざ病気になっても移植できない場合もある。

▲臍帯血移植は最先端手術法?〓一部臍帯血バンク会社は、臍帯血移植が骨髄移植よりはるかに進んだ治療法であり、臍帯血の造血母細胞を用いることで、未来の相当数の疾患を治療できると主張している。

しかし、高麗(コリョ)大医学大学内科の金ビョンス教授は、「いまだ臍帯血移植は骨髄移植より成功率が低いうえ、対象も少ない」と述べた。

現在骨髓移植は、1年に900〜1000件が行われているが、1988年に開発された臍帯血移植は国内で96年に導入されてから合わせて50件余りが行われた。

また、臍帯血移植は骨髓移植に比べて△回復が遅れ△造血母細胞が患者の体内で安定的に活動する確率が低く△再発する可能性も高いということ。このため、国内で臍帯血の移植を受けた子ども約50人の中で50〜60%だけが1年半以上生きたと、金教授は言う。反面、骨髄移植を受けた人は、70〜80%ぐらいが5年以上生きている。

金教授は、「骨髓移植であれ臍帯血移植であれ、死に掛けている患者を生き返らせる方法なので、優れた効果を示す抗がん剤が開発されれば、結局は姿を消すだろう。臍帯血移植の用途は減るしかない」と強調した。

▲果して安全なのか〓臍帯血バンクは、15年間血液を保管できると主張している。現在、15年以上も保管できるとする論文が発表されたが、これはあくまでも理論に過ぎず、5年経った臍帯血が実際に移植に使えるかどうかについては議論が続いている。

金教授は、「骨髓の場合、2年が過ぎると細胞が変質する可能性があるため、5年経つと廃棄する。5年経った臍帯血の場合、安全性が保障されないため、医師が移植を拒む可能性が高い」と述べた。

カトリック大学細胞遺伝子治療研究所のオ・イルファン所長は、「保管状態によって、細胞が損なわれる可能性がある。現在、臍帯細胞の採取、保管、利用などに対する管理監督が全然行われていないのが問題だ」と指摘した。



李成柱 stein33@donga.com