アフリカで16万年前の現生人類の頭蓋骨の化石が発見された。
現代人は10万〜20万年前に東部アフリカで出現した少数の集団に由来するとDNA分析で推定されてきたが、これまで化石は発見されていなかった。この頭蓋骨は、現生人類の「アフリカ起源説」を立証する決定的な証拠として評価されている。
米カリフォルニア大バークリー校のティム・ホワイト教授らのチームは、科学雑誌『ネイチャー』の最新号(12日付)に発表した報告書で、「エチオピアで現代人の直系先祖とみられる化石を発見し、男2人と子ども1人の頭蓋骨を復元するのに成功した」と明らかにした。
研究チームは97年、エチオピアのアパル地域の渓谷で、10人の割れた骨の化石と石器640点、河馬と水牛の骨を発見して年代を測定した結果、15万4000〜16万年前の化石であることがわかった。
このうち復元した男の頭蓋骨は、現代人と大きさや形態が似ている。旧人類は、猿のように眉毛の部分が盛り上がっているが、この頭蓋骨はそれほど盛り上がってはいない。頭蓋骨の大きさは、現代人より少し大きめ。化石は、発見された地域の言葉で「長老」という意味の「イダルツ」をつけ「ホモ・サピエンス・イダルツ」と名付けられた。
ホワイト教授は、「人類の化石は10万〜30万年前のものがほとんどなかったが、この化石はその空白を埋めてくれる。斧と石の刃で河馬や水牛の肉を切って食べる肉食であり、植物を利用することを知っていた」と語った。
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