コンピューター、時計、民主主義、無神論、避姙薬、印刷術、めがね、クラシック音楽、上下水道、原子爆弾…。数年前に米国のある作家が「過去２０００年間、人間が作った最高の発明品は何か」という質問をインターネットに載せた。ノーベル賞受賞者を含む世界の碩学１００人余りからの回答が上に挙げた項目だ。もし今、まったく同じ質問をしたら、男性勃起不全治療剤であるバイアグラ（Ｖｉａｇｒａ）もその項目に入ったのではないか。権威ある医学学術誌が「核爆弾以来、人類が作った最高の発明品」と評したという、まさにその「愛の妙薬」のことだ。
◆動物の雄の性器が勃起したときの大きさは鯨＝３ｍ、象＝１．５ｍ、馬＝１ｍ、牛＝９０ｃｍ、人間＝１５ｃｍ（韓国男性の平均は１２．５ｃｍ）、ゴリラ＝５ｃｍ、蚊＝０．０３ｃｍだという。体つきに比べれば、人間の「性器」の大きさを小さいとばかりは言えないだろう。しかし人間には他の霊長類、哺乳類とは違い、性器に骨がないという決定的な「弱点」がある。勃起不全という男性の昔からの悩みがここから始まる。勃起は陰莖に流れる血の流れに左右される。バイアグラは陰茎、動脈に血流を増加させて「ナイアガラ（Ｎｉａｇａｒａ）」滝のように「活力（Ｖｉｇｏｒ）」を向上させるという話に、男性たちが関心を集中させるのは当たり前のことだ。これに負けずと、女性のための「ピンク・バイアグラ」も現在臨床実験を行っているという。
◆去年、英国ロンドンのある映画批評家は、女優のニコール・キッドマンを「劇場用のバイアグラ（theatrical Viagra）」と比喩した。９８年に市場に出たバイアグラがいつのまにか普通名詞化したことを示す例だ。数日前には、米軍に射殺されたサダム・フセイン前イラク大統領の長男ウダイ氏のかばんからバイアグラが見つかって話題になった。製造会社であるファイザーが「疲れる逃避生活の中でも必ず携帯しなければならない必需品」という広告素材にしそうなことだ。そういえばファイザーは去年だけで、この薬で世界で１７億３５００万ドルの売上げをあげたそうだ。ウダイ氏を広告モデルにする必要もないかも。
◆そんなバイアグラに強力なライバルができるようだ。薬の効能が「わずか」４時間のバイアグラに比べて、３６時間も持続することができるというシアリス、服用して１５分ですぐ効果が出るというレビトラが近く韓国で販売されるという。「萎れた男性」に選択肢が多くなったことについて批判すべきではないだろう。しかし、正常な男性までが薬を探し求めることは、みっともないに違いない。男性たちは古い警句をもう一度心に刻むべきだ。「薬が良いからといって濫用せず、薬についてよく分からないまま誤用せず」と。
宋文弘（ソン・ムンホン）論説委員 songmh@donga.com
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