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[オピニオン]チャンバプ

Posted August. 18, 2003 22:05,   

한국어

「おい、昔、軍隊で『チャンバプ』を3年ずつ食べてきた人たちなんだ。銃声とおならも区別できない人に見えるか」。ある小説に出てくる会話の一こまだ。「チャンバプ」は、もともと軍隊で生まれた言葉だが、いまや軍隊に服役した人であれそうでない人であれ、知らない人がいないほど広く使われる言葉になった。その意味も単に軍隊の食事のことを超えて、一般の団体給食やまずいご飯をチャンバプとも言う。貫禄や経歴を意味する言葉としてもよく使われている。たとえば、誰かについて、「チャンバプが結構ある」と言うと、特定分野での経歴が並大抵でないことを意味する。

◆しかし、「チャンバプ」は辞書にも載っていない言葉だ。これはもともと「残ったご飯」という意味の「残飯(ザンバン)」からきた。焼酒(ソジュ)を「スェズ」というふうにくだけて呼ぶのと同じだ。今はありえない話だが、ずいぶん前、軍隊では兵士らがまともにご飯を食べられなかった時期があったそうだ。提供される食事の量も足りないうえ、栄養も乏しかった。食事時間を短く与えるなど、軍規が厳しくて提供された食事を食べきれない兵士もいた。このため、一部腹の減った兵士らは、上級者の目を盗んで「残飯筒」をあさって食べたりもした。こうした理由が重なって、軍隊で食べるご飯を「チャンバプ」と呼び始めたという。

◆今の軍隊にはそうした従来型の意味の「チャンバプ」はない。今は部隊によって、ジャプチェバプ(ジャガイモで作った麺に炒めた牛肉や豚肉、色々な野菜をそえて作った料理)、炒めご飯、ビビンバプも提供されており、チャンナンゾット(明太子のはらわたの塩から)、トッポッキ(甘辛く煮詰めたお餅)、乾いた昆布なども提供される。むしろ「チャンバプ」という言い方は、食事そのものよりは兵士間の序列階級を表す言葉として通用している。上級者が兵士を集める際、「チャンバプの順に集まれ」とか、仕置きを与える際、「お前はチャンバプを逆に食ったのか」という言い方がそうだ。いわゆる「チャンバプ文化」である。まだまだ一部の部隊では、軍規を立てるとして、「チャンバプ数」が多い古参が下の兵士に過酷行為を振るったり、悪口や暴言をはくようなことがひそかに起こなわれているそうだ。

◆陸軍がこうした「チャンバプ文化」を根絶する総合対策を打ち出したことを受け、これが兵営の民主化に貢献できるかどうか関心が集まっている。兵士同士の序列慣行からもたらされる非人間的な行為を一切禁止し、違反した場合、刑事処罰や懲戒処分にするというものだ。陸軍はこれまで古参による下級兵士への殴打行為を禁じるなど、幾多に渡って似たような措置を打ち出してはいるが、時間が経つと、元の木阿弥になって昔の慣行がまたも繰り返されたりしていた。今度こそ竜頭蛇尾にならないように、軍当局の徹底した管理監督がおこなわれなければならない。ただ、どんな場合でも軍の生命である軍規が緩むようなことはあってはならないだろう。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com