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[オピニオン]平壌のようなソウル

Posted September. 24, 2003 23:25,   

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ノルベルト・フォラツェン(45)氏は、数年前から北朝鮮人権問題を粘り強く訴えてきたドイツ人医師だ。フォラツェン氏は昨年3月、北京駐在スペイン大使館に北朝鮮からの脱出者25人を駆け込ませた「企画亡命」の背後として世界的な注目をあびた。先月22日には、江原道鐵原郡(カンウォンド、チョルウォングン)でラジオとカネが入った風船を北朝鮮に飛ばそうとして警察ともみ合いになって怪我をし、その3日後、大邱(テグ)ユニバーシアード大会の競技場で北朝鮮記者たちに暴行を受けた。北朝鮮問題にここまで一生懸命の彼に対して、一方では高く評価するが、「自分の国のことでもないのに、あまりにもでしゃばる」という批判もなくはない。

◆そんなフォラツェン氏が一昨日、警察庁国政監査場で発言した。「ソウルにいながら平壌(ピョンヤン)にいる感じがする。洗脳が北朝鮮にもあるが、韓国にも洗脳や統制、ねつ造や人権無視がある」と。北朝鮮問題をめぐり、あちこちで葛藤が生じる韓国の状況を皮肉った発言だろう。北朝鮮の人権に無関心な世論、現時点で人権問題を取り上げるのが南北和解・協力のためにならないという一部主張に対する遺憾の表現であるかもしれない。とにかく「ソウルが平壌のようだ」という彼の言葉が、韓国社会の深刻な分裂状況を代弁するようで苦々しい思いがする。

◆同日、与野党議員は、フォラツェン氏から自分好みの証言を引き出そうと熾烈な攻防を繰り広げたという。一部議員や保守団体からの証人の間に、肉弾戦直前の険悪なムードもかもし出された。外国人の前で、国論調整の場になるべき国会でさえ、「南南葛藤」の姿を見せたのは情けないことだ。左右の羽で空を飛ぶ鳥は、胴体でバランスを保つ。しかし今、韓国社会は胴体まで保守と進歩に分かれてしまった。これでは鳥が地に落ちるしかない。

◆「南朝鮮の人口は4000万人で、我々は2000万人だ。南朝鮮の2000万人を我々の側に引き入れれば、赤化統一は可能だ」。生前に金日成(キム・イルソン)主席が語った言葉だ。南南葛藤で漁夫の利を得るのは、最終的に北朝鮮ということだ。一方、フォラツェン氏は月刊誌『新東亜』10月号に掲載されたインタビューで、「同じ問題を心配して発言しても、ドイツや北朝鮮では私を左派扱いし、韓国では右派と考える」と吐露した。自分は北朝鮮の人権を心配するだけで、左派だの右派だのと分類することは重要ではないということだ。今我々に本当に必要なことは、このような現実主義的な対北朝鮮観ではないだろうか。それだけが、鳥を羽ばたかせることができるだろう。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員songmh@donga.com