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ルパン全集20冊を翻訳したソン・グィスさん

ルパン全集20冊を翻訳したソン・グィスさん

Posted December. 12, 2003 23:52,   

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「黒いシルクハットとマント、片眼鏡、そうした姿でルパンが登場するのは、全作品のうち1編の『不審な旅行客』でのひとこまだけです。ルパンはチェック柄の明るい帽子を好んで被ります。1900年代を背景にしたフランス映画で見られるようなロマンチックな人ですね」

翻訳家のソン・グィスさん(42)が最近全20冊分量の「アルセン・ルパン全集」(出版社:カチ)を一人で翻訳、完刊した。総23編の作品、翻訳原稿200字原稿用紙2万6636枚、訳者註釈652ヵ所、出版社ホームページでの訳者と読者との質疑応答430回余り…。

ソンさんにとって全集は、特に文学作品の場合、一人が専担して翻訳するのが原則だ。「翻訳者は創作者と読者を結び付けるもっとも直接的な媒介です。創作者に劣らないぐらいに作品世界をあまねく理解していなければなりません。『ルパン』は作家のモーリス・ルブランが30年余りにわたって執筆した作品で、前後の発表作がお互いに緊密につながっているためなおさらです」

翻訳者の積極的な役目を強調するソンさんは、2002年1月から今年10月までルパンを翻訳をしながら関連インターネットサイトを隅々まで検索した。作品の背景になる1900年代序盤の世界を読者らに思う存分見せてあげたかったからだ。作品の中で自動車が登場すると、インターネットで当時の自動車写真を探し出して本に添え、「ルパンがどの地域を経由して通った」というところでは地図を並べて配置した。

「現代の読者にも当時の読者のようにルパンを楽しんでもらいたいと願っています。現在の我々の実情から理解できない部分をそのままにしておくと、読者と翻訳者双方に損ですからね」

こうしたソンさんの情熱はもう一つの成果を収めた。フランスでさえ忘れられていた「アルセン・ルパンの数十億ドル」という作品を完全な形で蘇らせたのだ。作家が死ぬ2年前、「ロット(L’Auto)」という雑誌に1ヵ月間連載されたこの作品は、作家が死亡した後単行本で出版される過程で、編集上のミスで中間1回連載分のエピソードが抜けてしまい、不完全なままだった。

ソンさんはフランスの古本屋のインターネットサイトへの検索を重ねた結果、絶版された1941年版の単行本を手に入れ、うわさを頼りに「ロット」で勤めたことのあるルパン研究家の助けを得て、抜けていたエピソードを手に入れることができた。

「そのルパン研究家が完全復元されて出刊されたルパン全集は韓国が初めてで唯一だと言っていましたね」。



趙梨榮 lycho@donga.com