［社説］脱北者の収容が「拉致テロ」だとは

［社説］脱北者の収容が「拉致テロ」だとは. July. 29, 2004 22:19. . 北朝鮮は、大量の脱北者が韓国入りしたことについて「組織的で計画的な誘引拉致行為であり、白昼のテロ犯罪」という突拍子のない主張をして、韓国政府に対して毒舌を浴びせた。北朝鮮の対南機関である祖国平和統一委員会は、「南朝鮮当局の犯罪に絶対に手を拱くことはなく、それ相当の計算をする」と脅しまでかけた。 これは容認できない態度だ。外国を転々としながら苦労していた脱北者たちを同胞愛で抱きしめた行為を、どうやって拉致テロと規定するというのか。中国を経由して千辛万苦の末、東南アジアの第３国に到着した４００人余りの脱北者を韓国政府が人道的なレベルで受け入れたのは誰もが知っている事実だ。明白な事実を否定する北朝鮮の世間を眺める目と意識水準が遺憾である。 自分たちの弱点がさらけ出されて困惑しているならば、補うために努力するのが筋であろう。相手のせいにする前に、住民が気楽に過ごせる国を作るために最前を尽くすのが国家の道理であり、指導者の成すべきことだ。事実を歪曲して分別のない敵対心をさらけ出す時期ではない。人道的行為を犯罪だととんでもない主張をし、韓国を脅して何が得られるというのか。 北朝鮮を刺激しないために、恐る恐る脱北者を連れてきた政府は結局北朝鮮からこうした待遇しか受けられなかった。それなのに政府はたかが「事実とは違う主張」という論評を出すことに止まった。北朝鮮が声明を通じて事実を歪曲し露骨な脅迫までしたのに、どうして堂々と反論できないのか。「静かな外交」は北朝鮮に言わなければならないことまで言えないものなのかもどかしい。 来週に予定されている南北長官級会談にこだわるような政府の態度も間違っている。北朝鮮は日程協議のための２回の実務接触に応じなかった。とげのある声明まで発表したので、会談に応じる態勢ではない。たとえ南北が顔を合わせるとしても、現時点で北朝鮮と意義ある対話を行うのは難しいだろう。北朝鮮が冷静を取り戻して現実をまともに眺める準備ができるまで待つ方が正しい。