政府は、月収400万ウォンの世帯についても保育料の30%を支援するなど、出産率を高めるための政策を相次いで発表しているが、実際に子供の多い家庭に対する政府と自治体の支援は、いったいどれほどのものか。
慶尚北道亀尾市高牙邑黄山里(キョンサンブクド・クミシ・コアウプ・ファンサンリ)に住む主婦、厳癸淑(オム・ケスク)氏(43)は、現在妊娠3ヵ月。これで、じつに12回目の出産だ。厳氏はツワリがひどいが、妊娠後、まだ病院には行っていない。診療費の負担のためだ。
大学1年生の娘(18)から2歳の娘まで計5男6女がいるが、これまで政府や自治体から、出産について、いかなる支援や恩恵も受けていない。「少子化が進むと国が亡びる」と騒がれているものの、支援策は「絵に描いた餅」だ。厳氏夫妻は、「多産」を罪人扱いするような雰囲気がいちばん耐えがたい、と話した。厳氏の夫は牧師。信者約20人の教会の収益金(月60万ウォンくらい)で暮らさなければならない。
厳氏一家は、今年2月、国民基礎生活保障受給者(極貧者)に指定され、毎月約100万ウォンの支援を受けている。昨年まで、購入して10年たつワゴン車が1台あるとの理由から、基礎生活受給者として認められなかった。基礎生活受給者だから、小中高校に通う6人の学費と給食費が免除され、農業協同組合から毎月若干の米が支給される。
03年に娘を産んだ当時、亀尾・順天郷(スンチョンヒャン)病院から、出産費用として20万ウォンの支援を受けた。来年5月に出産予定の厳氏は25日、「出産奨励政策に、マスコミを通じて接するたびに、残念な気持ちになる」と言い、「基礎生活受給者として支援を受けるより、嬉しい気持ちで子どもを産み、育てられる社会の雰囲気がほしい」と話した。
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