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[オピニオン]テレビ権力

Posted November. 24, 2005 08:34,   

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「これは一体何なの?」「世界中の言葉で、愛してるって意味だよ」。徳寿宮(トクスグン)の石垣一杯に貼られた紙を背景に、恋人同士が交わした言葉だ。「ボクは、鐘路警察署強力3班の末端刑事です…。こんなボクが、1人の女性を愛しています。ボクと結婚してくれませんか」。SBSのテレビドラマ「プラハの恋人」でのプロポーズは感動的だった。「恋というのは、カメラのフラッシュのように一瞬で炸裂するものですよ」「ボクの心の中の国の大統領は、ユン・ジェヒ一人です」のような、素晴らしい台詞も残した。はなはだしくは、文化財である徳寿宮大韓帝国期の石垣に「残してはならない傷」まで残した。

◆徳寿宮の石垣にしっかり貼りつけられた800枚あまりの「愛してる」は、最善を尽くした男の愛と勇気のある女の恋心を演出する装置だったはずだ。しかし、現実的に状況を考えれば、それは無残な恋だ。忙しい刑事が9時間も紙を貼るのに没頭するのもおかしいが、大韓民国の人間ならだれでも知っているはずの文化財に、接着剤を塗るのも常識以下の行動だ。しかも、徳寿宮管理所には「付せん(ポストイット)を30枚つけるだけ」とウソまでついたというから、目的のためには手段と方法を選ばない刑事が幅をきかす国なんて、想像しただけでぞっとする。

◆テレビドラマが文化財を毀損したのは今回だけではない。KBSは「王と妃」の撮影当時、世界文化遺産の昌徳宮仁政殿(チャンドクグン・インジョンジョン)の庭先にLPガス機器を設置する大胆さを発揮した。木造建築物に間違えて火でもついたらどうするつもりだったのか聞いてみたくなる。放送の向上のためなら何でもやるという職業精神なのか、あるいは文化財より放送が重要だという傲慢か。

◆「プラハの恋人」の制作陣が謝罪文を出したにもかかわらず、視聴者の怒りが消えないのは、文化財まで見下すテレビ権力の堕落のためだ。視聴率さえ上げることができれば、何でもやらかし、「生きている権力」の機嫌がとれるなら事実も歪曲する放送は、「映像テロリスト」に他ならない。いいかげんに、「制作環境のため…」といった言い訳はしないでほしいものだ。ただでさえ国民は人のせい、新聞のせい、環境のせい、歴史のせいにさえする政治権力に飽きてひさしいからだ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com