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[社説]過去史委員会の危険な出発

Posted December. 01, 2005 03:22,   

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首相傘下の「光復(クァンボク、日本の植民地統治からの解放)60年記念事業推進委員会」が実施した世論調査で、回答者の77.7%は、「過去史整理」よりも「社会の安定」が重要だと答えた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が執着する「過去史整理」が生み出す後遺症と「歴史的過誤」に対して、多くの国民が憂慮していることを示す調査結果だ。

今日発足する「真実和解に向けた過去史整理委員会」の人的構成は、国民の予感が的中する可能性を高めるものだ。委員15名のうち、影響力が特に大きな委員長および常任委員を含む8名を盧武鉉大統領と与党が推薦した。これら委員は、盧武鉉政権と歴史認識をおおむね共有する人物だ。盧大統領と与党が示す近現代史の認識は、「正義が敗れ、日和見主義が権力を得た歴史」ということだ。世界トップ10入りする経済の発展を成し遂げた大韓民国の現代史を、片目だけで見る極端な見方である。

過去史整理委は、莫大な権限を持つ。委員たちは、裁判所の確定判決を受けた事件まで、調査対象に選定する権限を持つ。彼らが下した過去史に対する結論は、法令、政策、教育に反映され、歴史教科書を変える。このような結論は、全委員の過半数の賛成で下される。大統領と与党が推薦した委員8人が「同色」なら、野党と最高裁判所長官が推薦した委員7人の見解は、無意味となる。

委員長に任命された宋基寅(ソン・ギイン)神父は、盧大統領の「精神的師」であり、韓国社会を「既得権と反既得権の対決構図」として眺めていることは、広く知られた事実である。常任委員の金東椿(キム・ドンチュン)聖公会(ソンゴンフェ)大教授は、8月の世界韓民族フォーラムで、「韓国の現代史は、清算されるべき勢力が権力を握り、逆に良心勢力が完全に去勢され、歴史を歪曲し記憶を操作してきた歴史だ」と主張した。大韓民国の歴代政府の伝統と「漢江(ハンガン)の奇跡」を成し遂げた勢力の功までも、真っ向から否定する歴史観に相違ない。大統領が推薦したカトリック大学の安秉旭(アン・ビョンウク)教授も、「韓国の支配層は、米国から指示されたことを最も楽な案だと考えた」と述べ、現代史を対米依存の歴史と規定した。

日帝時代から第6共和国までの100年間の近現代史が、彼らの歴史認識の中でどのように裁断されるかは想像に難くない。短くて4年、長くて6年にわたって彼らが主導する「過去史整理」をいつか再整理しなければならない日が来るだろう。国民的消耗と国家的自害が憂慮される。盧武鉉政権が、「歴史を現実政治の手段として利用する政権が、歴史的に肯定的な評価を受けた前例は、世界史上見られない」という事実から学ぶことがなければ、これも不幸なことである。