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[オピニオン]罷兔になった「偉人」

Posted March. 22, 2006 03:13,   

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外国人たちが黄禹錫(ファン・ウソク)氏の前にお金の入ったかばんを持って現われた。外国人がお金の入ったかばんを開けて見せながら話した。「私たちと一緒に幹細胞の研究をしましょう。すべてのことに責任を持ちます」。すると黄氏が話した。「聞かなかったことにします。この研究は絶対売買できるものではありません。特許権者はこの黄禹錫ではなく、大韓民国だからです」。子供向け『黄禹錫偉人伝』の一部だ。

◆多くの偉人伝が出た。『皆さん、黄禹錫先生の成功を学ぼう』、『貧しさと疾病に苦しむ隣人のために曲げない牛のような固執を持った黄禹錫』、『黄禹錫博士の美しい生命の道』。子供たちが拳を握り締めるほど感動的な表紙の言葉も目立つ。『科学には祖国がないが、科学者には祖国がある』。それだけではない。小学校の社会科探求6年生の教科書では、黄教授を世界の科学発展に貢献している人物として紹介している。

◆その偉人伝の主人公が論文操作で大韓民国を傷つけ、遂にソウル大学教授職から罷免になった。研究室が閉鎖され、結局罷兔で追い出されてしまった。悪代官が暗行御使(朝鮮王朝の王命を受けた秘密監察官)によって罰せられる(封庫罷職)という、劇的な逆転を連想させる。非行と不正が明るみに出て倉庫が封鎖され、補職から追放される場面だ。罷免は公務員への懲戒のうち、最も高いレベルの重い懲戒だ。今後5年間は公職任用されず、退職金も半額に削られる。最高科学者第1号のタイトルも年間30億ウォンの支援金も出なくなる。

◆ニセの偉人を尊敬させようとした大人は、恥じなければならない。子供たちの精神的な混乱をどうするのか。苦しい弁解のようだが、大人たちの罪を反省し、告白するしかない。「皆さん、科学はお金で売買できるものではない。饒舌の広報と愛国心の声援だけで科学的成功は実現できないものである」。そして付け加えるしかない。「すべてのことに疑いの念を持ちなさい」と言うのは名言であり、科学的思考の出発点である。「一つでも十でも構わない」というふうにごまかそうとする者、失敗した事を偶然の事故を言いわけする者を、特に警戒しなさい。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com