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[社説]子どもの泣き声が聞こえない国に未来はない

[社説]子どもの泣き声が聞こえない国に未来はない

Posted May. 09, 2006 04:18,   

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世界最低の出産率よりさらに深刻な問題は、低出産がもたらす未来の災いに対する認識が、韓国社会全般に足りないという点だ。先進国はとっくに対策を立てて、出産率を再び吊り上げるのに成功したのに比べて、我々は無関心の中で放置して、出産率を垂直に墜落させた。00年に危険ラインの1.5よりも下がり、5年間で1.08へと落ちるまで、手をこまねいているばかりだった。夫婦が一人だけしか子どもを産まないのが普遍化し、結婚せずに独身で暮らすか、晩婚する風習も低出産につながっている。

これによる人口の減少は、国の経済と年金制度に深刻な脅威となり、ひいては社会の構成と伝統まで変えてしまうことになる。労働人口の減少と賃金の引き上げは、必然的に経済の衰えを生む。若い世代が負担できる限界を超すと、年金財政が破綻し、ベビーブーム世代の高令人口の全体が、福祉難民に転落しかねない。軍隊に入る男子が不足すると、軍を維持するため、女性まで徴集せざるを得ない事態が発生するかも知れない。

状況がこのように切羽詰っているのに、今すぐ消さねばならない自分の足元の火事ではないため、その深刻さに鈍感だ。若い世代に子どもを持つ人生の喜びをまともに教育できなかったせいもある。法王ベネディクト16世は、「真の愛情不足のため、本日の若い男女は結婚せず、しても失敗し、出産率が落ちている」と指摘した。考えさせられる言葉だ。

低出産は、人口爆発よりもっと恐ろしく複雑な災いであるにも関わらず、政治家と政府の関心は上滑りに止まっている。高齢人口は投票権を持っているが、生まれてくる子どもは今すぐには政権交代に影響を与えないからだ。日本では人口10万人以上の地方の中堅都市が低出産による人口の減少で没落している。韓国もこのまま行けば、地方の小都市から衰退し始めるだろう。あまり遅れる前に政府が実行計画を樹立しなければならない。二番目、三番目の子どもを持つ家庭に果敢なインセンティブを与え、教育費の負担を軽減する方策が必要だ。子どもの泣き声が聞こえない国に未来はない。