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『空に昇る道』

Posted June. 13, 2006 03:08,   

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『空に昇る道』は、1998年、インド・ヒマラヤのテレイ・サガール(海抜6904メートル)北壁で消えた3人の若者の成就と痛恨がぶつかる空の下の話だ。「悪魔の赤い城壁」と呼ばれる同壁を登っていた時、頂上まで約100メートルを残した地点で、シン・サンマン(32)、チェ・スンチョル(28)、金ヒョンジン(25)の3人は、人間の登頂を拒む北壁に花火のように散ってしまった。

彼らは、人生の最後の瞬間をともにしても幸せだったと思われるほど意気投合したザイル・パートナーだった。3人は「自殺区間」と名づけられた北壁の最難関区間「ブラックタワー」を直登し、世界で初めて直登ルートを開くことに成功する。

しかし彼らは、海抜6800メートルの地点で頂上につながる雪の斜面に入った直後、群がってきた雲とともに消えてしまった。3人は、ロープひとつで縛られたまま1300メートルを墜落した。魔のブラックタワーを通過した彼らがなぜ墜落してしまったのかは、永遠のミステリーだ。

1998年9月28日午後4時15分、突然雲が群がって瞬間的に暗くなり、さらに彼らがぶら下がっていた壁に雲の帯がからまったせいで、ベースキャンプの仲間も当時の状況を目撃できなかった。3人は、雲のみが知る秘密を持って、消えてしまった。

テレイ・サガールの北壁は、目に見える成果中心重視の登頂主義から脱し、より難しい登路による登頂を追求する山岳人たちには、象徴的な地だ。韓国山岳人たちは、1993年の初挑戦後、何度も挑戦したが、悪天候と技術不足で毎回失敗した。ハンガリー遠征隊は1991年、「自殺区間」という名を残して引き返し、オーストラリア遠征隊は1997年、「もの凄い」と震え上がってあきらめた。そして遂に、韓国の若者3人が、北壁ブラックタワーを直登し、名実共に北壁直登ルートを開くことに成功したのだ。ただ、生還できなかっただけだ。

撮影と記録担当でともに登山に参加した山岳カメラマンのソン・ジェシク氏が書いた同書には、生死を分ける切迫した状況で、いっそう強くなった山男たちの友情が、岩のように息づいている。卓越した登山の実力と確固とした登山哲学を兼ね備えた若い登山家として、自分たちの人生を真実をもって切り開く生活人として、高く登るよりも、どのように登るかにより価値を置いた3人の若いアルピニスト。「登山は、深くはまるほど、死と引き離せないようだ」と言っていた彼らは、彼岸の向こうでも、頂上への区間を登っているのだろう。巨壁で人生の意味を探し、「登山の過程」に意味を付与した3人の花火のような人生が、悲しくも美しい。

「山頂の美しさも、偉大な空間の中の自由も、再発見した自然との親密さも、山の友人との真の友情なしには無味乾燥なものだ」と言ったフランス登山家・ガストン レビュファの言葉をかみしめる。