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[社説]「金英男イベント」では覆えない北朝鮮の拉致犯罪

[社説]「金英男イベント」では覆えない北朝鮮の拉致犯罪

Posted June. 29, 2006 03:21,   

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昨日、金剛山(クムガンサン)では、1978年に全羅北道仙遊島(チョルラプクト・ソンユド)で北朝鮮に拉致された金英男(キム・ヨンナム、45)さんが、28年ぶりに韓国家族と再会した。金英男さんが死んだと思い、霊魂結婚式まで行なった母親の崔桂月(チェ・ゲウォル、82)さんは、高校1年の時に行方不明になり、中年の姿で現れた息子を抱きしめて、涙を流した。誰が作った悲劇なのか。北朝鮮側は、人道主義の次元で再会を取り持ったと善を施すように言うが、憤りを禁じ得ない。始めから拉致を犯さなければ、金英男さん親子に再び離別の苦痛も与えなかったのではないか。

金英男さんの家族はしばらく「恨」が解かれたかもしれないが、他の拉致被害者家族たちは依然として血の涙を流している。北朝鮮には485人の戦後拉致被害者と約540人の生存国軍捕虜がいるものと政府は把握している。このうち、00年以後「特殊離散家族再会」の形で再会したケースは、26家族104人だけだ。韓国戦争時に北朝鮮に拉致された8万2959人の生死は、把握されていない。金英男さんが日本人拉致被害者の横田めぐみさんの夫の可能性があるという事実を、日本政府が地道な調査活動を通じて確認し、国際問題化させなければ、金英男さん一家の再会もなかっただろう。

北朝鮮は2月の第7回南北赤十字会議で初めて拉致被害者の存在を事実上認め、拉致被害者および国軍捕虜の生死確認問題の協議を約束した。にもかかわらず、その後の閣僚級会談で特に進展がない。北朝鮮が、反人倫的犯罪を反省するどころか、韓国の支援を得るカードとして使おうとする態度がうかがえ、嘆かわしい。

南北交流協力にもかかわらず、北朝鮮の対韓国赤化路線は揺るぎない。今日で4周年を迎える西海(ソへ=黄海)交戦は、このような北朝鮮と対峙しなければならない韓国の安保現実を改めて実感させる。感傷的民族主義に陥り、不安な現実に背を向ければ、悲劇は繰り返される。

北朝鮮は今からでも、すべての拉致被害者の生死を確認して、韓国側の家族に通知し、生存者を返さなければならない。拉致被害者たちの年齢から考えて、これ以上延ばしてはならない。韓国政府も「形式的な要求」をするだけでなく、対北朝鮮支援と連携して、結論を出さなければならない。