盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府発足以来、違法ストと暴力デモが絶えない。違法が常例化したと憂慮されるほどだ。違法ストと暴力デモは、国民生活に被害を与えるだけでなく、国民経済に深い傷を残している。
にもかかわらず政府は、暴力事態に生ぬるい対応をして、公権力の権威を自ら傷つけ、違法暴力の悪循環を招いた。
慶尚北道浦項(キョンサンプクト・ポハン)地域の建設労組員が火炎放射器などで武装し、ポスコ本社を9日間にわたって占拠した今回の暴力事態を契機に、違法暴力事態の再発を阻止する抜本的な対策を講じるべきだという世論が起こっている。
特に、今回の浦項事態で、政府が強力な対応をためらっている間に違法暴力が拡散し、厳正措置を宣言するとすぐに労組が解散したとことから、違法暴力を阻止するには、何よりも政府が断固とした態度で臨まなければならないという指摘が出ている。
12日、ソウル市庁前広場で開かれた「韓米FTA阻止汎国民運動本部(汎国本)」集会の参加者の一部は、警察に対して竹の棒や鉄パイプを振り回し、歩道ブロックを割って投げつけるなど、暴力デモを行なった。この過程で、約10人の機動警察官が耳にケガをするなどの負傷を負った。
5月の京畿道平澤(キョンギド・ピョンテク)米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会(汎対委)のデモの時も、一部のデモ隊が木の棒を振り回し、軍の将兵約10人がケガをした。腕を骨折した兵士2人が、緊急投入されたUH1Hヘリコプターで首都統合病院に搬送され、治療を受けた。
しかし、このような事態に対して、政府は違法暴力を行ったデモ隊を「一罰百戒」するどころか、むしろ公権力の自制を強調する態度を見せた。平澤デモ当時、尹光雄(ユン・グァンウン)国防長官が、「デモ隊の暴力に対し忍耐をもって自制したことに、頼もしく思う。これからは警棒や盾など護身装備をつねに持参してほしい」と言ったほどだ。
さらに、盧武鉉政府の葛藤調整システムが根本的に誤っているのではないかという批判も起こっている。今回の浦項事態でも、政府は当初手をこまねいたが、浦項市民の批判世論が沸きあがるや、遅れて関係省庁対策会議を開いた。
違法過激デモに対する対応が組織的に行われず、世論の動向によって場当たり的に適当に行われているという指摘だ。
昨年末の農民デモの鎮圧途中、農民2人が死亡した事件で、大統領府が世論を気にして、許准栄(ホ・ジュニョン)警察庁長官(当時)を更迭するなど無原則に対応したことが、事態をさらに悪化させた。
また、違法デモへの加担者に対する司法処分が生ぬるいことも、違法を量産する要因だ。
5月末まで、集会やデモなどの集団違法行為と関連して司法処分を受けた人は計4223人で、昨年1年間に司法処分を受けた7193人の58.7%にのぼる。しかし、逮捕されたのは93人で、昨年211人の半分にもならない。
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