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[オピニオン]コククジラ

Posted January. 10, 2008 05:39,   

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高麗(コリョ)時代初期に朴寅亮(パク・インリャン)が編纂した『殊異伝』に出る延烏𩒐や細烏女の説話は、韓国唯一の太陽神説話だ。新羅(シルラ)阿達羅王4年(西暦157年)、東海(トンヘ、日本名=日本海)の海辺で暮らしていた延烏𩒐と細烏女の夫婦は、それぞれ岩に乗せられ、日本のある島にたどり着き、そこで王と王妃になったが、その瞬間、新羅では太陽や月が光をなくす異変が起きたという。ところが、当時、この夫婦が乗ったという岩とは、コククジラの背中だったそうだ。

◆鯨の背中に人が乗るはずはないが、昔、韓半島の近海に、コククジラがいかに多くいたかを物語る説話だ。コククジラは岩と見間違えるような様子をしている。最も大きいものは胴体が16メートル、体重が45トンで、体全体は薄い灰色を帯びており、白いバーナクルなどの固着生物が、体にびっしりついている。遠くから見れば、まぎれもなく岩だ。海岸の岩の合間に頭をもたげていては瞬く間に消えることから「お化け」という名がついたという。

◆でも、コククジラは名前にはふさわしくない行動をとる。賢いが大きな体つきに似合わず、人を怖がる。コククジラの正式な名前は、「韓国系の灰色鯨(Korean Gray Whale)」だ。100種類あまりの鯨の中で、「韓国」という名のつくただ一つの種だ。大型鯨は沖合いで遊泳するが、中型級のコククジラは、水深50メートル前後の沿岸沿いにもぐる習性がある。海岸の干潟を吸い込み、その中の小さなえびをえさとしているためだ。それで、バーナクルもつくわけだ。

◆国立水産科学院・鯨研究所では、コククジラを発見して通報する人に1000万ウォンの賞金を与えることを決めた。コククジラは日本植民地時代に数千頭が捕獲されたのをきっかけにその数が激減し、1970年代以降に絶滅したと知られている。政府が1962年、天然記念物126号に指定し、関心を促したものの、何の役にも立たなかった。最近になってようやく、学界の調査で、ロシアサハリンの海で120頭あまりが生存していることが確認された。1万年間も韓国人の友達だったコククジラ、その神出鬼没の姿を再びわれわれに見せてほしい。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com