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[社説]「牛肉」を越え、民生回復に国力を結集せよ

[社説]「牛肉」を越え、民生回復に国力を結集せよ

Posted June. 23, 2008 05:56,   

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政府は、米国との牛肉追加交渉で、生後30ヵ月以上の牛肉が輸入されないように、米政府の「品質システム評価(QSA)」を通じて保障を取りつけるのに成功した。狂牛病(牛海綿状脳症=BSE)特定危険物質(SRM)含有の憂慮がある脳、せきずいなどの4つの部位の輸入が制限される。韓国側が、米国の屠殺場を点検する権限も確保した。食卓の安全の問題に極度に敏感になっていた国民の要求を実質的に満たす成果であり、全面再交渉をしても、これ以上は確保できない水準だ。にもかかわらず一部の団体とデモ隊、そしてこれに便乗した野党が、国家の「通商大計」を揺るがす再交渉を要求し続けることは、政略的攻勢である。

政府と与党は21日、国民の不安を最大限払拭するために、米国産牛肉の輸入を多少延期することを決めた。現在、韓国内に保管中の物量が牛肉告示の施行直後に販売されれば、狂牛病論議への消費者の反応が現われるだろう。世界でも高価に属する韓牛(韓国牛)の値段を考えても、韓牛だけでなく、オーストラリア産とともに米国産牛肉も陳列され、消費者が選択できるようにすることが、消費者の権益を保障する策である。

今年に入って、首都圏だけでも、オーストラリア産などの輸入牛肉3万キロを韓牛と偽って販売したケースが摘発された。牛肉は、レストランや流通業者など全国33万ヵ所で販売されており、取り締まりが容易ではないが、原産地の偽造だけは必ず阻止せよというのが国民の要求だ。政府は国民に約束したとおり、牛肉原産地の表示が徹底的に守られるように万全を期さなければならない。国内の韓牛農家と畜産業界は、品質奨励金の支給などの政府支援策を最大限活用し、飼育、屠畜、流通の全過程を改善して、消費者の選択を受けられるようにする必要がある。

政府の追加交渉の成果にもかかわらず、20日夕方から21日まで続いた徹夜デモでは、警察のバスをロープで引っ張り、バスに火までつけようとした。放火しようとした人は、デモ隊につかまって警察に突き出されたが、狂牛病国民対策会議がデモをけしかけ続けるなら、深刻な不祥事が生じないという保障はない。ろうそく集会とデモを主導する対策会議は、事実上、不法デモと暴力を扇動しているという国民と各界の憤った視線を感じて、政府に対する無理な無限闘争を終わらせなければならない。

デモ隊は20日夜、ソウル市が光化門(クァンファムン)広場の工事用として保管していた砂袋を不法に持ち出し、道路のど真ん中に「国民土城」を積み上げ、デモ隊が警察のバスに上る階段として利用した。その砂も、国民の共有の財産である。都心で、未明まで拡声器を使って行なうデモのために、近隣の住民は眠ることもできず、精神的不安に苦しんでいる。光化門と市庁周辺に住む住民たちは、通行権を制限され、近隣のレストランや店は、約2ヵ月間、商売がまともにできないほど営業権を侵害されている。デモの参加者たちは、「健康権を保護するために、表現の自由権を行使している」と主張するが、他人の生活権と幸福権を侵害しながら不法デモをする権利は誰にもいない。

政府は、企業と民間が不安を感じることなく、経済活動と生業が自由にできる社会的ムードを作らなければならない。にもかかわらず政府は、不法デモを放置することで、法秩序の守護者としての役割を放棄した。平凡な国民の大切な生活権が侵害される現実を対策もなくただ放置する政府は、もはや政府ではない。社会の各界各層も、不法行為や暴力を扇動したり、これに同調して不法デモに明け暮れる勢力を断固として排撃しなければならない。

このような時であればあるほど、政界の役割が重要だ。にもかかわらず、統合民主党の金鍾律(キム・ジョンリュル)政策委副委員長は、「QSA方式は、一ことで言って、致命的な毒の入ったトロイの木馬だ。解決策は全面再交渉だけだ」と強弁した。自由先進党も、「米国の間接規制方式に国民の健康権を委ねている」と主張した。国政運営の経験がない民主労働党はそうとしても、民主党と先進党の態度は無責任の極致である。

民主党は、金大中(キム・デジュン)政権時の与党だった旧民主党と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時の与党のヨルリン・ウリ党が合体した党だ。この10年間、国政に責任を負った経験がある政党であり、首相や長官・次官を務めた人物も多い。先進党も、首相まで務めた李会昌(イ・フェチャン)総裁と首相行政調整室長として国政全般の実務責任を担った沈大平(シム・デピョン)代表が率いる党だ。

両党の人々は、政府の今回の追加交渉が「最後」ならざるを得ないことを重々承知しているだろう。にもかかわらず、交渉無效と再交渉を叫ぶのは、ただ、李明博(イ・ミョンバク)政権を揺さぶるために、国政マヒ、経済と国民生活の危機、グローバル化反対および先進化放棄も構わないという態度であり、国民に対して実に無責任な社会運動的行動である。

民主党は議員総会で、早期に国会出席問題に関する党論を収れんする計画だという。その席が、無責任な強硬派の「反米扇動舞台」にならないことを願う。憲法によって国民に責任を負う政党なら、本当に国民のための道が何なのか、今からでも頭を悩ませ、与党とともにその道を進まなければならない。

原油高をはじめとする生活物価の高騰で、庶民と中産層の暮しはますます苦しくなっている。自営業者は、「金融危機の時よりも苦しい」と訴える。物価上昇、内需景気の低迷、国際原油価格の高騰、先進国経済のい縮など、国内外の悪材が、韓国の経済と国民の暮らしを挟み撃ちにしている。民と官のいずれもが、経済危機を憂慮している。

国内外の経済環境の変化を予測できず、景気管理にも未熟だった政府の責任は大きい。政府は、人事刷新を機に、経済難を克服する青写真を提示して実践し、経済主体の信頼を取り戻さなければならない。政策混乱をもたらした「成長か、安定か」といった論争から脱し、崖っぷちに立たされた国民生活を救う実質的な案を出し、実行に移す必要がある。原油高による庶民経済の衝撃を減らすための代案づくりに力を入れ、規制緩和と投資活性化による経済体質の強化にも、速度をつけなければならない。

企業は、生産、投資、雇用の主体である。企業家精神を発揮して、経済危機打開の主役にならなければならない。投資が活発になってこそ、経済全体に活力が生まれるというのは、韓国経済が多くの危機を切り抜く度に経験した。

国民一人ひとりの役割も重要だ。サラリーマンであれ自営業者であれ、各自の経済行為を通じて、影響を与えあう。不安心理に包まれ、必要な支出まで減らすことが、隣人と自分自身、共同体全体にどのような結果をもたらすのか、賢明に判断する必要がある。苦しい時であればあるほど、苦痛分担による共生の知恵が切実に必要だ。国民みんなの血と汗で成し遂げた世界10位圏の経済を壊してはならない。