米オハイオ州トレドに住むジョー・ウィゼルバーガー氏(34)は、15日昼までは平凡な配管工だった。しかし、同日夜の大統領選候補のテレビ討論で、ジョン・マケイン共和党候補とバラク・オバマ民主党候補が、彼の名前を数十回も言及したことで、突然有名人になった。
突然スターになって数時間も経たない16日、彼は、米国メディアと進歩団体から突如バッシングを受ける身になった。
AP通信は16日、「配管工のジョーは、本当に配管工なのか。それが討論の種だ」というタイトルで、ウィゼルバーガー氏は配管工の免許のない無資格者であり、所得税も1182ドル滞納していることが明らかになったと報じた。
トレド地域の配管工労組の幹部トニー・ヘレラ氏は、「彼が自分を配管工だと主張したのは、恥ずかしいことだ。本当の『配管工ジョー』(ジョーという名前は、米国で平凡な庶民の代名詞のように使われている)は、オバマを支持している」と語った。
多くのメディアは、「ウィゼルバーガーは、オバマが当選する場合、年収が25万ドルを超えれば税金が上がるか心配しているようだが、そんな収入を得られる仕事がどこにあるのか、今すぐ見てみたい」という配管工労組員たちの皮肉を伝えた。
ウィゼルバーガー氏は12日、トレド住宅街をまわって、住民たちと会話を交わしたオバマ候補に、「アメリカン・ドリームを信じるか」と言って、「私は店を持って独立することが夢だが、25万ドル以上の収入を得れば、税金が増えるのではないか心配だ」と論争し、この場面がテレビカメラに映った。
ジョン・マケイン候補は16日の遊説で、「昨晩の討論の真の勝者は、配管工のジョーだ。ジョーをはじめとする零細事業者が勝利した。彼らは、オバマが税金を上げることを受け入れない」と述べた。
これをめぐり、ロイター通信は、「ウィゼルバーガーが、オバマの税金政策を攻撃しようとする保守派のダーリング(darling)になった」と論評した。
ウィゼルバーガー氏をめぐる論争に対して、彼が正式の免許があろうがなかろうが、事案の本質と無関係なのに、メディアが大騒ぎするのは公正でないという指摘が出ている。多くの配管工が、配管設備業の免許証所持者が運営する業者に雇用されており、その雇用者も配管工と呼ぶ。
もしウィゼルバーガー氏の発言が民主党に役立つ内容だったなら、メディアと労組がそれほど攻撃したかは疑問だ、という指摘もある。さらに、ウィゼルバーガー氏は、自らスターになろうとしたわけでもなく、他意によって有名になった平凡な庶民にすぎない。
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