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[オピニオン]漢江のスカイライン

Posted January. 21, 2009 08:01,   

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ロンドンの観光コースで、テムズ川は欠かせない。勇壮たる威容を誇る国会議事堂やビックベンを眺めながら、川辺に沿って歩いてみると、テムズ川のランドマークであるロンドン・アイや、発電所を改造したテート・モダン美術館、そしてタワー・ブリッジやロンドン・タワーに出会う。パリも同様だ。ルーブル博物館からノートルダム大聖堂に至るまで、全ての観光スポットがセーヌ川に沿って繋がっている。セーヌ川の遊覧船に乗らなかったら、パリ観光をしたことにはならない。

◆いかなる国であれ、大都市は川に沿って発展する。川は都市に自然の息吹を吹き込む源であり、生活の場であるため、都市の重要な施設や機関は、川辺に集まるのが自然な現象だった。テムズ川やセーヌ川周辺が、聖堂や議会、美術館などの公共建築物や歩行者道路に重点を置いて開発されたのも、このような所以からだ。東西を問わず、川そのものは公共のものであるが、川や海が見渡せるところに豪華な住宅やホテルが我先に立ち並ぶ。

◆漢江(ハンガン)周辺の景観は、経済開発期にやや傷つけられた。1960〜80年代の「漢江の奇跡」という圧縮成長の裏には、川辺の道路や箱型マンションの建設があった。江南(カンナム)のマンションは漢江を背景に、同じ形で立ち並んでいる。南向きに対する韓国人の拘りが生んだ単調な風景である。箱型マンションは画一的なスカイラインを作り出した。まるで、マンションで垣根を作ったかのような漢江のスカイラインを見ていれば、なんとなく息苦しくなる。さらに、多くの自動車が猛スピードで走る川辺の道路が横たわっており、漢江は歩行者のアクセスには不便な空間となってしまった。

◆ソウル市が、漢江の川辺に高層マンション建設を認める代わり、土地の持分の25%を受け取る案を発表した。寄付された土地に公園を造り、川辺を市民の空間として返すという。不動産価格の値上がりを刺激しかねないという懸念もなくはないが、うまくいきさえすれば、単調な漢江の景観を変え、都市の空間構造を再編するきっかけとなるだろう。華やかなスカイラインを誇るニューヨーク・マンハッタンが窮屈に思わないのは、ビルとビルとの間に、市民が共有する広々と開かれた空間(オープン・スペース)があり、歩行者もいくらでも外部の景観を楽しむことができるからだ。ソウル都心を悠々と流れる漢江を、韓国内外の人々にとってより近く、一緒に楽しむことができればこの上ないことである。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com