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[オピニオン]ES細胞を巡る戦い

Posted March. 19, 2009 09:51,   

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米国は「未来の金脈」であるES細胞の研究に再び拍車をかけている。米連邦政府が先週、ES細胞の研究に対する財政支援を7年ぶりに認めたのは、この研究がもたらす膨大な利益や恩恵を諦めることができなかったためである。ブッシュ前政権が保守的なキリスト教系の意見を受け入れ、01年以降ES細胞の研究を制限する間、各競争国は鼻の先まで追いついてきた。英国や日本の成果は目覚しい。英国は人の卵子とほかの動物の細胞間で、核細胞を取り替える異種間体細胞のクーロンを認め、先導国家として浮上した。

◆日本は生命倫理を巡る議論を避けられる新技術を開発した。「万能細胞」と呼ばれるこの技術は、人の卵子の代わりに肌の細胞を使い、ウイルスを注入し、肝細胞を抽出することができる。宗教的な批判を避けるため、卵子を使わない方式を求めた末、手にした結果である。ドイツやスペイン、シンガポール、イスラエルも先頭グループを成している。米国もこれまで手を拱いたわけではない。カリフォルニア州の場合、州レベルで毎年3億ドルの支援を行ってきた。米国はES細胞と関連のある論文や特許の件数において、依然世界トップの座を占めている。

◆韓国でのES細胞の研究は05年、黄禹錫(ファン・ウソク)論文捏造事件以来、なかなか進んでいない。国民の多くがいまだにあの時のショックから抜け出せず、「黄禹錫トラウマ(精神的外傷)」という言葉まで出ている。極度に萎縮している研究雰囲気の中、政府の関連研究費の支援も年間350億ウォンに止まっている。英政府が年間2700億ウォン、日本政府が1000億ウォンを投入しているのに比べれば、大きな隔たりがある。支援金もさることながら、これ以上遅れる前に、ES細胞の研究に再び拍車をかけるべきだという国民的な共感を築くのが、さらに急務である。

◆三星(サムスン)経済研究所はES細胞の世界市場での規模が、12年には年間324億ドル(48兆ウォン)に達するものと見込んでいる。ES細胞を使った治療は、科学者らの狙い通りになれば、人類の病気の治療や生命延長に革命をもたらすだろう。経済効果は一際大きい可能性もある。米連邦政府の支援再開を受け、一寸を争う本格的な「ES細胞を巡る戦い」が始まった。韓国も早急に黄禹錫事件の傷跡から立ち直り、研究再開に乗り出すべきである。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com