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[オピニオン]Y染色体の終焉

Posted July. 21, 2009 07:50,   

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X染色体は1890年、ドイツ人学者、ヘルマン・ヘンキング氏が初めて発見した。この染色体が女性を決めることまではわからなかったが、ヘンキング氏は、星カメムシという昆虫の精巣から抽出した特異な染色体をX染色体と呼んだ。最近は、この染色体の形が「X」字であることが分かっているが、彼が当時、このような名前をつけたのは、この染色体があまりにも神秘的かつ例外的(extra)だったためである。女性は謎だらけだということから、適切な命名だったと言えるだろう。

◆Y染色体は、それより後の1905年、米ペンシルベニアのブリンモア女子大学のネッティー・スティーヴンスが発見した。生涯、米虫の一種であるミールワームを研究した氏は、雌には20個の完全なサイズの染色体があるのに、雄には19個の正常サイズの染色体と非常に小さい染色体があることを発見した。この小さな染色体がX染色体の相手であることに気づいた。X染色体は男性によって、Y染色体は女性によって発見されたのも、運命のいたずらと言えるだろう。

◆学者らはX染色体とY染色体とは元来、同様の形だった染色体が分離されたものと見ている。二つが決別するようになった時期は、Y染色体が性別を決定する遺伝子を得てからだ。しかし、「離婚」後の人生は変わってくる。Y染色体は、X染色体と遺伝子を交換することができない上、ほかのY染色体との共存もできなくなり、次第に萎縮されてしまう。一方で、X染色体は「華やかなシングル」に戻ることになる。「XX」としても存在することのできるX染色体は、ほかのX染色体と遺伝子を交換しながら、Y染色体のような退化を経験せずに済む。

◆ペンシルベニア州立大学の研究チームは最近、PLoSジネティックスという学術雑誌に発表した論文の中で、「Y染色体の遺伝子は次第に減り、結局、染色体そのものが消える可能性がある」と明らかにした。そもそも、X染色体との遺伝子の数が同じだったY染色体の遺伝子は現在、80個に過ぎない。一方、X染色体の遺伝子は1100個に上る。Y染色体の退化を最近の「男性の女性化」現象と結びつけるのには無理がある。その代わり、この研究が示唆するところは、ほかにあるような気がする。ケンブリッジ大学の生物学者で、科学著述家でもあるデイビッド・ブリンベイジ氏は、「X染色体は社会性がよい」と指摘した。染色体であれ、人間であれ、他人との関係の中で生きていくことになる。要するに大事なことは「関係作り」なのである。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com